はじめに
新卒採用が難航する現代、日本の製造業における外国人留学生の進出が重要性を増しています。株式会社ASIA Linkが実施した調査において、2026年卒の留学生が製造業にどのようなイメージを持っているのかを探っていきます。
調査概要
本調査は、2025年9月22日から10月13日にかけて実施され、対象は26卒の外国人留学生46名。調査方法はWeb上のアンケートを使用しました。
- 専攻分野: 文系22名、理系24名
- 国別: 東アジア33名、東南アジア8名、南アジア2名、欧米3名
- 学歴: 大学院修士課程22名、学部21名、高専2名、博士課程1名
留学生の製造業へのエントリー状況
調査結果によると、46名中22名が製造業にエントリーしたと回答しました。製造業にエントリーしたグループは、安定性や社会貢献に高い評価をしている一方で、変革性が乏しいと感じています。これに対し、エントリーしなかったグループは、製造業に変革性があると認識していましたが、仕事の魅力や楽しさについては低い評価をしています。
製造業にエントリーした留学生のスコア
「安定性がある」は全員が同意し、スコアは1.00。続いて、「社会貢献・環境への取り組みが良い」が0.82、「人の役に立つことができる」が0.82の評価を受けました。一方で、「変革性がある」では-0.14と低評価であり、特に実力主義や女性の活躍についても評価が低い傾向が見られました。
エントリーしなかった留学生の評価
製造業にエントリーしなかった24名は、技術力や社会貢献度について高い評価をしていましたが、仕事の魅力や職場環境に関しては低迷しました。このことから、留学生が製造業への参加をためらった要因が浮き彫りになっています。
比較分析
製造業のイメージに関するエントリーしたグループとの差異を比較すると、特に「仕事の魅力」や「明るさ・楽しさ」に関して大きな差がありました。エントリーしなかった留学生がこれをネガティブに捉えていることは、業界に対するマイナスイメージの要因となっていると考えられます。
留学生の国際的視点
調査の一環として、留学生が最近の製造業における技術力をどの国に見出しているかも明らかにしました。最も多く挙げられたのはアメリカで57%、中国が24%、日本は12%という結果でした。特に、AppleやNVIDIAといった企業は高い評価を得ており、日本の製造業が持つ国際的な存在感についての課題が浮かび上がっています。
まとめ
製造業にエントリーした留学生は、安定志向が強く、社会貢献や福利厚生について評価が高い一方で、変革性や魅力に乏しいと感じています。一方、エントリーしなかった留学生は、製造業に対する期待を持ちつつも、実際の業務環境についての情報不足が影響しているようです。これから日本の製造業が外国人留学生を惹きつけるためには、より明確な成長戦略や自己成長の機会の提示が求められます。