要件定義の課題に関する調査結果とAI活用の重要性
株式会社ROUTE06が実施した要件定義に関する実態調査では、上場SIerやITベンダー企業の部長職相当の325名を対象に、様々な課題が浮き彫りになりました。この調査の結果は、特に要件定義の過程における属人化や手戻りの頻発が具体的に示され、業界全体の改善が必要であることを浮き彫りにしています。
調査結果の概要
調査の結果、最も多く挙げられた課題は「未経験者への難しさ」で54.5%がこれに同意しました。次いで「品質のばらつき」が44.9%、「手戻り発生/ドキュメント作成の手間」が42.8%と続きました。このデータは、要件定義が経験やスキルに大きく依存していることを示しています。
約6割の回答者が「担当者の経験・スキルへの依存」が要件定義における課題の発生要因だと述べており、93.8%の人が自社の要件定義の属人化を実感しています。この現状は、プロジェクトの品質や効率性に悪影響を及ぼしていることは間違いありません。
さらに、調査では「半数以上のプロジェクト」で手戻りが発生しているとの報告もあり、これはプロジェクト全体のコストや納期に直結するため、経営課題として真剣に取り組む必要があります。
特に難しい「現状把握」
要件定義において最も難しいとされている工程は「現状把握(As-Is業務)」であり、50.8%がこれを挙げました。このことから、情報整理力やプロジェクトの土台となる部分の重要性が強調されています。要件の初期段階での整備が不十分であると、それ以降の工程がスムーズに進まないことが多く、ボトルネックとなることが実証されています。
AIの活用状況
調査によると、約9割の企業が開発プロセスの中で幅広くAIツールを活用しており、その中でも「要件定義」におけるAIの活用は45.2%と最も高い結果が出ています。また、4社に1社が要件定義に特化したAIツールを本運用していることも興味深い点です。
要件定義専用のAIツールを使用している企業の87.5%は、その導入を検討していると回答しており、AIへの期待が高まっていることを示しています。特に、AIツールの導入は「ドキュメント作成の効率化」といった実務にとどまらず、「思考プロセスのガイド」や「ナレッジの継承」といった面でも効果が期待されています。
ROUTE06の取り組み
ROUTE06の取締役である松本均氏は、今回の調査を通じて要件定義における属人化の問題が顕在化したことを指摘し、「要件定義はビジネスと開発の橋渡しであり、組織として再現可能なプロセス」として捉える必要があると述べています。特に現状把握から課題提起への流れが最大のボトルネックであり、これを改善することで生成AIが要件定義者の手助けをできるかが今後の課題であると強調しています。
ROUTE06が提供する「Acsim」は、まさにこの問題に取り組むためのAI要件定義ツールであり、属人化の解消とプロセスの標準化を目指しています。現状把握から課題抽出、設計書自動出力に至るまで、一貫したサポートを実現し、開発現場の生産性と品質を向上させることを目的としています。
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ROUTE06は、AIを用いた要件定義が推進者の思考を補完し、業務の効率化だけでなく本質的な価値を提供できる未来を目指しています。今後のDX推進においてもその役割はますます重要になってくるでしょう。