MiRESSOと東京大学が環境親和型リチウム分離技術に挑む
株式会社MiRESSOは、青森県三沢市に本社を持つ新興企業で、最近、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の先導研究プログラムに、東京大学と共同で提案した「環境親和型リチウム分離回収技術の研究開発」が採択されました。これは、リチウムの精製方法を革新し、持続可能な未来を実現するプロジェクトです。
ミッションは次世代への資源確保
リチウムはスマートフォンや電気自動車などに欠かせない素材であるため、その重要性は日々増しています。MiRESSOは「鉱物資源の可能性を引き出し、明るい未来を次世代につなぐ」というミッションを掲げ、環境に優しいリチウムの分離回収技術を研究することで、次世代の社会実装を目指しています。
従来の技術の環境負荷
従来のリチウム精製プロセスでは、リチウム鉱石であるスポジュミンからリチウム化合物を取り出すために、1000℃の焼成および250℃の濃硫酸焙焼が必要であり、高い環境負荷がかかっています。また、このプロセスでは多くの化学試薬が必要とされます。このような従来の手法に代わる新たなアプローチを模索することは、資源効率を高め、環境に配慮するうえで不可欠です。
新技術の概要と利点
MiRESSOが提案している技術は、従来の手法に代わり、電化エネルギー源を利用したマイクロ波加熱と化学処理を組み合わせる新たなアプローチを採用しています。この“新アルカリ・マイクロ波溶解技術”により、リチウム鉱石を300℃で一度の熱処理で溶解させることが可能になり、これによりエネルギーコストの削減が期待されています。また、東京大学が開発した新しい分離沈殿技術は、使用する試薬の量を大幅に減らすことが可能で、経済性を大いに向上させる要因となります。
期待される効果と今後の展望
この研究開発が成功すれば、リチウムの精製コストを削減し、供給の安定性を高めることが期待されます。さらに、環境への負荷を抑制し、持続可能な資源利用が図れるため、未来のエネルギー社会において重要な役割を果たすと考えられています。MiRESSOと東京大学は、新技術の実現に向けて着実に進展させ、将来的には社会実装を目指す意向を示しています。
会社情報
MiRESSOは2023年5月16日に設立され、ベリリウムの製造販売事業や技術プラットフォームの構築を行っています。公式ウェブサイトでも、技術情報や問い合わせ先が掲載されています。今後、この新たな技術がどのように発展していくか、密に注目していきたいと思います。
公式サイト:
MiRESSO