代替肉バーガーの魅力はボリューム?
健康訴求の限界と新たなアプローチ
近年、代替肉の普及が進む中で、その商品コンセプトには新たな視点が求められています。明治大学の加藤拓巳准教授を中心とした研究チームは、代替肉バーガーに対する消費者の反応を通じて、新しい商品コンセプトがいかにして効果的であるかを実証しました。従来、代替肉はその健康面に重点が置かれてきましたが、より重要なのは「満腹感」であることが示されています。
利己的な動機の重要性
本研究では、消費者はエシカルな選択をしていると公言しながらも、実際には自身の快適さや満足感を優先する傾向が強いことが明らかになりました。代替肉の低カロリーや低脂肪という健康面の訴求だけでは消費者の関心を引きつけきれない今、満腹感に訴えるアプローチが新たな魅力を生む可能性が高いのです。
実施された調査の詳細
研究チームは、日本の20代から60代までの1000人を対象に、オンラインでのランダム化比較試験(RCT)を実施しました。参加者は5つのグループに分けられ、各グループには異なる商品の特徴に基づくコンセプトが提示されました。その結果、満腹感を訴求したグループが最も高い魅力を感じることが確認されています。
環境問題と食の選択
代替肉を選ぶ理由の一つには、温室効果ガス削減の観点があります。家畜からのメタン排出が地球温暖化に寄与していることが知られており、代替肉はその解決策の一端を担っています。しかし、その利点を消費者にどう伝えるかが課題です。
消費者心理の変化
従来のアプローチでは、消費者は健康や環境といった利他的な価値観に訴えかけられることが多かったですが、実際の購買行動にはそれだけではなかなか繋がりません。本研究の成果は、企業のマーケティング戦略においても重要な示唆を与えるもので、消費者の心に響く商品コンセプトの必要性を示しています。特に、「よだれの戦い」とは、いかにして消費者の食欲を呼び起こすかがカギとなります。
今後の展望
研究チームは、代替肉の普及には消費者の心理を理解し、利己的な動機に基づいた商品設計が不可欠であることを強調しています。この新たなアプローチが、今後のエシカル消費の普及に貢献することが期待されています。エシカルな選択を自然に選ぶためには、まずは消費者の欲求に寄り添うことが大切です。これからの食品業界において、持続可能性と満足感の両立が重要になってくるでしょう。なお、この研究は「マーケティングジャーナル」にも掲載されています。
この情報は、加藤拓巳准教授のウェブサイトや経団連の講演内容などでも確認することができます。