在日コリアン二世が語る、75年の「落ちこぼれ」から見出した「近代の渡来人」としての生き方
「近代の渡来人 落ちこぼれからの七転び八起き人生」(著:河本行雄 〈河炳俊〉)は、在日コリアン二世として生まれた河本行雄氏が、自身の波乱万丈の人生を赤裸々に綴った自伝です。
本書では、河本氏が直面した困難や葛藤、そしてそこから得た教訓が克明に描写されています。
幼少期、朝鮮人部落と日本人社会の境界線の中で育ち、差別や偏見に苦しんだ経験。結婚後、経済的な困窮に陥りながらも、家族のために奮闘した日々。そして、社会活動を通して、渡来人としてのアイデンティティと日本社会への貢献という新たな目標を見出していくまでの道のり。
河本氏は、自身の経験を通して、日本社会における渡来人の置かれた立場や、多文化共生の重要性を訴えます。
「いつ来たかは別として、日本に入り住みついたら日本人になる。すべて日本列島に到達した時期が違うだけの話だ。その中の利害を含めて日本のためにどうしたらいいかを主張し行動すべきである」
本書は、単なる自伝にとどまらず、現代社会における多様性と共存、そして個人が持つ可能性について深く考えさせられる一冊です。
挫折から立ち直り、新たな道を切り開いた人生
河本氏は、若かりし頃は、経済的な困窮や周囲からの期待に応えられないもどかしさ、そして、自分自身の存在意義を見失うほどの苦難に直面しました。しかし、彼は決して諦めず、家族への愛情を胸に、自らの力で生き抜く道を模索し続けます。
人生の転機となったのは、結婚と子供を持つことでした。河本氏は、家族を養うという責任感から、初めて「志」を立て、人生の目標を見据え始めます。そして、社会活動を通して、自身の経験を活かし、渡来人として日本社会に貢献できる道を模索していきます。
「日本社会の鳩時計」としての決意
河本氏は、多様な文化が共存する現代社会において、互いに理解し合い、尊重し合うことの重要性を訴えています。彼は、自らを「日本社会の鳩時計」と表現し、社会の課題を指摘し、より良い未来に向けて貢献していく決意を表明します。
本書は、河本氏の75年の波乱万丈の人生を通して、困難を乗り越え、新たな目標を見出し、社会に貢献していく人間の力強さを教えてくれます。
『近代の渡来人 落ちこぼれからの七転び八起き人生』は、あなたの人生に新たな光を与える一冊となるでしょう。