アビオメッドが日本でのIMPELLA治療の進展を発表
アビオメッドは、同社の「IMPELLA補助循環用ポンプカテーテル」による国内での治療症例が1,000件に達したことを発表しました。これは、日本における急性心不全治療の新たな選択肢として注目を集めています。
IMPELLAの導入
日本で初めてIMPELLAを使用したのは2017年10月、大阪大学の澤芳樹教授の指導の下で行われたものでした。その後、全国で100の医療施設がIMPELLAによる治療を実施できるようになり、138の施設が正式に認定を受けました。この成功は、日本の心臓治療界における大きな前進を意味しています。
治療効果
IMPELLAが治療に使用された患者580名についての速報では、心原性ショックを伴う急性心筋梗塞や心筋炎の患者において、IMPELLA使用時の生存率が従来の治療法に比べて顕著に高いことが確認されています。
心原性ショックを伴う急性心筋梗塞のケース
- 生存率:87%
- 心機能回復率:97%
- - IMPELLAと経皮的心肺補助装置(PCPS)の併用治療の症例(n=89)
- 生存率:54%
- 心機能回復率:75%
- - 従来治療法(PCPS)による治療の生存率は21%から31%とされています。
心筋炎のケース
- - IMPELLA単独またはIMPELLAとPCPSの併用治療(n=62)
- 生存率:83%
- - 従来のPCPS単独治療の生存率は43%から52%です。
導入プロトコル
IMPELLAの導入にあたっては、National Cardiogenic Shock Initiative (NCSI) やIMPELLA Quality Database、cVAD Studyなど、欧米の患者治療経験から得られたベストプラクティスを反映したプロトコルが使用されています。
大阪大学の澤教授は、「IMPELLA導入から2年で治療を受ける患者数が増加しており、多くの心臓専門医がその効果を理解し、積極的に取り入れている」と述べています。
今後の展望
日本アビオメッドの西村栄三代表は、「IMPELLAは心臓のポンピング機能を補助し、患者の生存率と心機能回復率を向上させる新しい選択肢であり、心機能を自ら回復させる治療に貢献したい」と期待を寄せています。
今後もIMPELLAの普及が進むことで、急性心不全を抱える患者の救命に寄与することが期待されています。技術革新により、多くの患者が健康を取り戻せる日を待ち望みます。
製品情報
IMPELLAは日本で、急性心不全に対しても効果的であることが示されており、その使用方法や適応は厳格に管理されています。アビオメッドの製品は、日本国内での心疾患治療において大きな前進を遂げており、医療現場での実績が信頼を獲得しています。
結論
IMPELLAは新しい心臓治療の可能性を拓くデバイスとして、患者の取り巻く状況を変える力を持っています。心臓病に苦しむ多くの患者が、IMPELLAによって救われることを願っています。