COPD対策基本法の必要性
NPO法人日本呼吸器障害者情報センター(J-BREATH)は、2025年4月30日に肺および呼吸器疾患対策の法整備を求める声明を発表しました。この声明は、特に慢性閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎の患者への支援を強化し、より良い療養環境を提供するためのものです。
増加する肺・呼吸器疾患
日本では、COPD患者が約500万人いるとされ、この数は今後も増加する見込みです。近年、間質性肺炎も増えてきており、その影響で患者の生活の質や医療負担が深刻な問題となっています。大多数の患者は、早期診断や適切な治療を受ける機会がないまま苦しんでいるのが現状です。J-BREATHは20年以上、国に対して療養環境の改善を求め続けていますが、制度の整備は十分ではありません。
法整備の遅れ
現在、政府は健康寿命の延伸を目指し、様々な基本法を制定してきました。たとえば、がん対策基本法や心臓病に関連する法律もありますが、呼吸器疾患に特化した法制度は未整備です。これにより、患者の支援が後回しにされているのが現状です。
J-BREATHの目指すこと
J-BREATHは、新たな法律の成立により、具体的な施策を実現したいと考えています。その目的として以下の点が挙げられています。
1. 早期診断の推進
健診プログラムに呼吸機能検査を導入し、早期診断を促進します。また、患者登録制度を設けて、継続的なケアや災害時のフォローアップを実現します。
2. 治療法の研究・開発
新薬や治療技術の開発を進め、医療機関で患者が最適な医療を受ける環境を整えます。特に在宅ケアのサポートも重要です。
3. 呼吸リハビリテーションの普及
リハビリテーションは医療の重要な一環として位置づけ、全国的に標準医療として提供します。
4. 経済的負担の軽減
治療薬やリハビリテーションにかかる費用負担を軽減する制度を整備し、すべての患者が治療を受け続けられる環境を提供します。
5. 国と自治体による対策の推進
これらの施策を国家と地方自治体の責任で進め、実効性のある予算確保を目指します。
共同の努力
また、呼吸器学会や他の患者団体と連携し、厚生労働省への陳情や地方自治体への働きかけを進めています。呼吸器疾患に対する認識を高め、適切な治療とサポート体制の確立を目指しています。
COPDへの理解を深める
COPDはタバコの煙やその他の有害物質が原因で発症する病気で、特に中高年層によく見られる生活習慣病です。早期診断が遅れるケースが多く、患者の生活に多大な影響を与えています。わずかな息切れをただの疲れと捉え、早期に医療を受けることができない多くの患者がいます。
間質性肺炎の認知不足
間質性肺炎は近年、有名人の急死によって認知されるようになりましたが、まだまだ意識が低く、早期診断が急がれます。無症状で進行し、動いているときの息切れや乾いた咳が特徴的です。
最後に
J-BREATHは、今後も患者の声を代弁し、法整備の促進に努めます。呼吸器疾患の危険性とその重要性を広め、治療環境を改善するため、皆さんの支援と関心が不可欠です。私たちの健康を維持し、より良い生活の質を実現できるよう、共に取り組んでいきましょう。