ゼロボード総研所長の国際会議での提言
2026年2月25日、東京のアジア開発銀行研究所で開催された「ASEAN企業気候透明性強化に向けた国際政策対話」において、株式会社ゼロボードの総研所長、待場智雄が専門家パネリストとして出席しました。この会合はアジア開発銀行や日本の環境省などが主導し、ASEAN地域の環境省や財務省、証券監督当局の政策担当者たちが一堂に会し、企業のGHG(温室効果ガス)排出量開示やMRV(算定・報告・検証)制度の高度化について議論しました。
待場智雄の発表内容
待場所長は、GHGプロトコル専門作業部会での経験を基に、20年ぶりに進行中のプロトコル改定の重要な論点を提示しました。特に、Scope 1・2・3の算定におけるデータ品質の向上の重要性や、金額ベースの排出係数から物量ベース及び一次データへの移行の必要性について強調しました。これにより、企業における環境データの信頼性が高まり、経営判断もより正確に行えるようになります。
また、財務報告における組織境界の整合性や、今後新設される予定のCategory16(仲介排出量)についても議論しました。待場は、これらの制度の進展がどのように企業のGHG排出量の算定と報告プロセスに影響を与えるかを深く掘り下げました。
パネルディスカッションでの議論
続いて行われたパネルディスカッションでは、IFRS-S(財務マテリアリティ)、GRI(インパクトマテリアリティ)、CSRD/ESRS(ダブルマテリアリティ)などの主要開示フレームワークの考え方の違いが議論され、各国のMRV制度との相互運用性の課題も浮き彫りになりました。待場所長は、制度の拡大が進む一方で、企業は開示要件の複雑化や内部統制の高度化など、実装上の多くの課題に直面していると指摘しました。
気候開示と経営戦略
待場は、気候関連の開示が単なるコンプライアンス問題でないこと、そして経営統合の重要性を強調しました。具体的には、気候関連の開示情報を戦略的な意思決定に組み込み、シナリオ分析や内部炭素価格の導入、取締役会レベルでの監督の強化が必要だと訴えました。これにより、企業は実効的な脱炭素経営に向かうことができるでしょう。
まとめと今後の展望
待場所長は、気候関連開示の制度的進展が世界中で進んでいる一方で、その実効性は企業のデータ基盤の整備や複数の制度への対応能力、ガバナンスの向上に依存すると警鐘を鳴らしました。開示を目的化するのではなく、本質的な脱炭素経営につなげる施策が肝要であると述べ、今後は省庁間及び産官間の対話を強化する必要があると考えています。
ゼロボードは、サステナビリティ情報を経営判断に活かせるデータプラットフォームとして、アジア太平洋地域の気候透明性の向上に貢献することを目指しています。さらに、企業向けの脱炭素経営に関するウェビナーを毎月開催しており、最新の動向を伝えています。