日本曹達、新規殺ダニ剤「ダニオーテ」が業績賞を受賞
日本曹達株式会社は、3月11日に開催された「日本農薬学会第50回大会」で、新たに開発した殺ダニ剤「ダニオーテ」が日本農薬学会業績賞(技術)を受賞したことを発表しました。この受賞は、持続可能な農業に向けた同社の取り組みと技術的な革新が高く評価された結果です。
「ダニオーテ」の特徴と効果
「ダニオーテ」は、日本曹達独自の農薬原体「アシノナピル」を活用し、特にハダニに対する優れた防除効果を持っています。ハダニは果樹や野菜に多大な影響を与える害虫であり、早い増殖と薬剤への抵抗性が問題となっているため、新しい薬剤の必要性が増しています。
特徴1: 新しい作用機構
この薬剤は、ハダニ類のカルシウム活性化カリウムチャネル(KCa2)を阻害することで、神経系に特異的に作用し、高い防除効果を示します。従来の殺ダニ剤に抵抗性をもつハダニにも効果があります。
特徴2: 高い安全性
ハダニに対する高い効果がありながらも、ほ乳類のKCa2に対する影響はほとんどありません。このため、農業現場において安全に使用できる製品となっています。
特徴3: IPMに適した作用
「ダニオーテ」は、有用な昆虫や天敵に対して影響を与えにくい設計がされており、総合的病害虫管理(IPM)のシステムにおいても重要な役割を果たすことができます。
国際的な展開と今後のビジョン
「ダニオーテ」は、日本や韓国の市場向けに拡販を進めており、アメリカや東南アジアでも開発が進行しています。また、2017年に発表した殺菌剤「ピシロック」や2021年の「ミギワ」と共に、環境負荷の少ない新規農薬シリーズとして、国際舞台での普及を目指しています。
その一環として、同社は「かがくで、かがやく。2030」という長期ビジョンを掲げ、持続可能な社会に貢献し、企業価値を向上させるために農業における重要課題を掲げています。
日本曹達の歴史と未来
1920年に設立された日本曹達は、これまでに蓄積された技術やノウハウを元に、農薬や医薬品、高機能化学品を生産してきました。環境・安全・品質・健康にも配慮しながら、今後も独自の技術をもとに新しい価値を創造し、豊かな社会の構築に尽力していく姿勢を示しています。
悩ましい害虫の問題に立ち向かう「ダニオーテ」は、技術の進化を象徴する製品として、持続可能な農業の実現に寄与することでしょう。