河淳が新たな挑戦「Retex」とは
近年、持続可能な社会実現が求められる中、企業はさまざまな取り組みを行っています。その中でも、特に注目を集めているのが、河淳株式会社による「循環型カーテンサービス Retex(リテックス)」です。廃棄されたカーテンを新たなカーテンとして生まれ変わらせるこのサービスは、2025年4月1日からの受付開始が予定されています。国内初の試みであり、今後カーテン以外のアイテムの展開も視野に入れています。
取り組みの背景と意義
「作ったものが、いつか捨てられてしまう」—これは、ものづくりに携わる多くの企業が直面する現実です。河淳のホテル事業部企画開発部のリーダーである茂野真幸は、この状況を打開しようと立ち上がりました。彼は3年間の試行錯誤を経て、廃棄されるカーテンを再利用し、新たな価値を生み出す試みに挑戦してきました。
リサイクルペレットの製造過程では、温度や材料の調整が不可欠で、異物除去なども求められます。再生糸の課題としては、強度や品質の維持があり、高速織機の使用時には糸が切れやすいという問題もありました。このような苦難を乗り越え、業界全体で「サステナビリティ」や「SDGs」を追求することの重要性を再認識させる取り組みとして、Retexは位置づけられています。
エコパートナーとの連携
このプロジェクトは、ユニベール株式会社やエコログ・リサイクリング・ジャパン、そして有明興業株式会社が協力し、立ち上がりました。ユニベールの堤氏は、「再生糸の品質向上に向けた努力を続けている」と語ります。また、エコログ・リサイクリング・ジャパンの田邊氏は、製造コストの課題に対してプロセス改善を続け、強度を高める工夫を重ねています。これにより、不断の努力がサステナブルな未来を切り拓く一歩になるという信念が込められています。
Retexの具体的な流れと機能性
Retexでは、まず廃棄カーテンを回収し、その後、専用工場でリサイクル加工を施します。そして、新しいカーテンを生産・販売するという一貫した流れを確立しています。さらに、再生しやすいポリエステルを使用した「認定カーテン」の販売を行い、誰でも手軽に参加できるように工夫しています。
この新しいカーテンは、年間で約50%のCO2削減が期待され、再生ポリエステルを用いることで耐久性や速乾性などの優れた機能性も兼ね備えています。また、従来のカーテンと同様の品質を実現するために、約3年の研究開発が施されています。
今後の展望とイノベーション
Retexの導入目標としては、初年度に20軒のホテルにカーテンを提供することが掲げられています。さらに、廃棄カーテンを活用した新たな商品開発へも力を入れ、将来的にはレースカーテンや家具などへの展開も計画されています。これにより、循環社会の構築に向けた一歩を踏み出すことが期待されています。
ブランドのメッセージ
Retexのロゴには「Recycling - Textiles」というメッセージが込められています。この新たな取り組みは、サステナブルな未来をデザインするための一環であり、廃棄カーテンが新しい価値を持つ製品に進化することを象徴しています。河淳はこの挑戦を通じて、持続可能性と創造性を両立させ、未来の社会に貢献していくことでしょう。