2025年のゲームアプリ市場動向と新興市場の成長を分析

2025年のゲームアプリ市場動向と成長する新興市場

今月、モバイルアプリの計測・分析ツールを提供するAdjustが、「ゲームアプリインサイト 2025」という最新レポートを発表しました。このレポートでは、2024年のゲーム業界の動向を分析し、新興市場における成長の傾向や、ユーザーエンゲージメントの強化に関する見通しが示されています。

ゲーム業界の今

2024年の予測として、ゲームアプリのインストール数は前年比4%増加しましたが、注目すべきはセッション数がわずかに減少したことです。”」-0.6%にとどまるこの数字は、ユーザーの継続率を向上させる重要性を示しています。レポートは、2023年に低迷した市場がどう回復するのか、また、2025年に期待される成長の維持についても詳しく触れています。

新興市場の成長

Adjustの調査によると、モバイルゲーム市場は、新興市場の成長を背景にさらなる活性化を見せています。特に、中東・北アフリカ地域（MENA）とラテンアメリカ（LATAM）では、前年比でそれぞれ7%増、9%増という結果が得られ、他の地域を上回る成長を遂げています。これらの地域では、セッション数も増加しており、ユーザーエンゲージメントが向上していることが見受けられます。

一方で、北米市場ではインストール数が前年比で11%減、セッション数も14%減少。この低下は、ユーザーエンゲージメントの低下を示唆しており、ゲーム開発者やマーケターにとっては大きな課題と言えるでしょう。

アジア太平洋地域（APAC）やヨーロッパにおいても、様々な課題がある中で、モバイルゲーム市場の今後の展開が注目されています。

ATTオプトイン率の上昇

2024年第1四半期におけるApp Tracking Transparency（ATT）のオプトイン率は37.5%であったものが、2025年第1四半期には37.9%に上昇しました。特にアーケードゲームのオプトイン率は、42.4%から59.3%へと大幅に増加。これにより、特定のジャンルにおけるユーザーの関心が高まっていることが伺えます。

カテゴリー別のインストールとエンゲージメント

2024年には、ハイパーカジュアルゲームがインストール数の割合で全体の27%を占めましたが、セッション数の割合は11%にとどまり、離脱率の高さが問題視されています。対照的に、アクションゲームはインストール数が10%と低いものの、セッション数の割合は21%に達し、ユーザーエンゲージメントの強さを証明しています。アクションゲームが最も長時間プレイされるゲームであることも、ユーザーの関心を引きつけ続けている要因の一つと考えられます。

2024年に最も高い成長率を記録したのは、戦略ゲームのインストール数が83%増加したこと。また、カジノゲームとアーケードアプリは、それぞれのセッション数が32%増、23%増に達し、ユーザーエンゲージメントの高さが示唆されています。

2025年の重要トレンド

Adjustのレポートでは、2025年に予測されるモバイルゲーム業界の重要なトレンドとして以下の点が挙げられています：

- AIによるパーソナライゼーション：AI技術を活用し、プレイヤーのエンゲージメントを向上させる新たな戦略が期待されます。
- クロスプラットフォームプレイの拡大：さまざまなデバイスでのゲームプレイがシームレスに行えるようになることで、ユーザーの離脱を防ぐことが可能になります。
- ハイブリッド収益化の普及：アプリ内購入やサブスクリプション、広告など、収益源の多様化が進むでしょう。
- 新たなユーザー獲得手法：コネクテッドTV（CTV）やインフルエンサーマーケティングの活用により、ゲーム発見のあり方が変わっていきます。

Adjustのコンテンツ・インサイト部門ディレクターであるティアン・ウェッツラーは、「市場の変動期を経て、モバイルゲームは再び成長軌道に乗っています」と述べ、今後の展望を明るくしています。また、日本ゼネラルマネージャーの佐々直紀も、「長期的なエンゲージメントの確保が課題である」と言及しており、特にアクションやRPG分野での改革が求められています。日本市場も安定した成長を見せながら、さまざまな挑戦に直面しています。

モバイルゲーム市場の変革に向けて、Adjustはその成長を支える計測・分析ツールを通じて、日本のゲーム企業が市場の変化に迅速に適応できるよう、今後も力を入れていく方針です。