TIS、新たな量子コンピュータプログラミングサービスを発表
TIS株式会社が、国立研究開発法人産業技術総合研究所のGPUスパコンABCIを活用した新たなWebサービス「Qni」を発表しました。このサービスは、量子コンピュータプログラミングの普及を目指し、専門知識不要で誰でも量子回路のシミュレーションを行えることを目的としています。
ABCIとQniの連携
ABCIは、5,000基以上のNVIDIA社製GPUを搭載する高性能な計算プラットフォームであり、これまでに多くの研究者によって活用されてきました。TISはこの環境を利用することで、量子回路をリアルタイムでシミュレーションできる「Qni」を提供。従来は最大16量子ビットまでのシミュレーションしか扱えなかったものが、今回の改良により最大30量子ビットのシミュレーションが可能になりました。
量子回路シミュレーションの簡素化
「Qni」はブラウザ上で動作し、ドラッグ&ドロップ方式でユーザーが量子回路を編集できるのが大きな特徴です。これにより、プログラミング経験がない人でも直感的に操作でき、量子ビットや量子ゲートの仕組みを理解する手助けとなります。さらに、操作結果が即座に表示されるため、学習効率も向上します。このサービスは、国内外での量子コンピュータエンジニア育成に貢献することを目指しており、無料で提供されています。
生成AIと量子コンピュータの融合
最近の生成AIや量子コンピュータ技術への関心は高まっており、これにより高性能計算のニーズも急増しています。従来のスパコンは、限られた専門家のみが利用できる環境であったため、より多くのユーザーがアクセスできる環境が求められていました。ABCIを通じて、今後はAI研究者や量子アルゴリズム研究者以外の専門家でも大規模な量子回路計算が可能になると期待されています。
今後の展望と期待
TISは「Qni」を通して、量子コンピューティングの導入を促進し、2025年度に予定している次期ABCIシステム「ABCI-Q」でもこのサービスを継続する計画です。また、今後の量子機械学習など新たな研究分野での活用が期待され、多様なユーザがアクセス可能な利用環境の整備も進められる見込みです。これにより、量子コンピュータの普及が加速し、産業や研究活動における競争力向上に寄与することが目指されます。
まとめ
TISの新たな取り組みにより、量子コンピュータプログラミングの敷居が大幅に下がることが期待されています。「Qni」を通じて、より多くの人々が量子コンピュータを活用し、様々な課題に取り組むことができるようになるでしょう。この新しいサービスがいかに多くの研究成果につながるのか、今後の展開に注目が集まります。