北海道のマイワシ漁業がMSC認証審査へ
北海道道東で活動するマイワシまき網漁業が、持続可能な漁業に向けて、MSC(海洋管理協議会)漁業認証の審査に突入しました。この取り組みは、池下産業株式会社(北海道広尾町)と兼松株式会社(東京都千代田区)の共同申請によるもので、対象となるのは道東沖でのマイワシ太平洋系群のまき網漁業です。審査対象の漁船は、浜平漁業の網船、探索船、運搬船を含む5隻で、2024年の漁獲量はおよそ10,000トンと見込まれています。そして、獲れたマイワシは全てフィッシュミールとして利用される計画です。
環境保護と漁業の未来
池下産業と兼松は、漁業者と共に2022年7月から1年間にわたり、漁業改善プロジェクト(FIP)を実施し、MSC認証取得のために取り組んできました。このプロジェクトでは、対象魚種以外に混獲される種や、絶滅危惧種、保護種に関するデータの整備、漁業が生態系に与える影響に関する調査などが行われています。2024年1月に予備審査を経て、現在本審査に突入した形です。
日本におけるマイワシ漁業がMSCの認証審査に入るのはこれが初めてであり、養殖業の持続可能性への関心が高まっている中で、持続可能な原料で生産されたフィッシュミールの需要も増えています。
申請者の意気込み
池下産業株式会社の代表取締役社長、池下藤一郎氏は、「気候変動の影響で海の環境は大きく変化している」とし、持続的な漁業の重要性を強調しました。彼は、MSC認証が未来への挑戦の第一歩であると語り、全ての関係者が協力して持続可能な漁業の実現に向けて進むべきだと訴えています。
一方、兼松株式会社の穀物飼料部副原料課課長である木原宏明氏は、「日本の伝統的な食文化と環境保護の精神を大切にしながら、新しい時代に挑戦したい」と述べ、全力で取り組んでいく意向を示しました。
審査の仕組み
今回の審査は、独立した第三者機関であるSCS Global Servicesによって行われます。資源の持続可能性や漁業の生態系への影響、管理システムの評価が行われ、審査の終了は2025年の9月を見込んでいます。関心のあるステークホルダーは、指定されたメールアドレスに連絡を取ることが可能です。
MSCの取り組みとは
MSCは、水産資源を将来にわたって持続可能な形で残すことを目的に、国際的に認知された非営利団体です。1997年に設立され、現在は約20カ国で活動しています。日本においてもMSC認証を受けた水産物は広く流通しており、イオングループやマクドナルドなどで購入することができます。
持続可能な漁業のための認証規格は、FAO(国連食糧農業機関)やISEAL(国際社会環境認定表示連合)の基準を満たしており、漁業がこれを達成するには、持続可能な漁業資源の確保、環境への影響の最小化、長期的な管理システムの機能が求められます。これにより、MSCM漁業認証を受けた漁業は、持続可能性が科学的に裏付けられた選ばれた証となります。
今回の審査を通じて、持続可能な漁業の重要性とその実現に向けた努力がますます高まることが期待されます。