19歳ナカダリオが監督を務める『Nox』が公式選出
19歳のアーティスト兼映像作家ナカダリオが手がけた自伝的イマーシブ映画『Nox』は、2026年にイタリア・ヴェネチアで開催される第83回ヴェネチア国際映画祭の「Venice Immersive」コンペティション部門に公式選出されました。この映画は、複雑性PTSDや解離性障害と呼ばれる精神的な体験を、観客自身が手や身体を通じて直接感じることができる形式で表現されています。
自伝的な視点から描かれる物語
『Nox』では、ナカダリオが自身の経験をもとに、複雑性PTSD、解離性障害、不思議の国のアリス症候群などの症状を独自の視点で捉えています。これらの心理状態は、言葉で表現するのが難しく、映画を通じて体験者が自分自身の身体を使って感じることが求められます。映画は、13の異なるシーンと5つのインタラクションによって「崩壊」「断片化」「再統合」といったテーマを探求し、約20分にわたって観客を没入させる体験を提供します。
VR技術を駆使した新たな映像体験
本作は、特にMeta Quest 3のハンドトラッキング機能を利用しており、コントローラーなしで体験できます。この技術により、観客は物語の一部として、自らの手で空間を操る感覚を味わいます。『Nox』は、空間的な物語の中で、視覚や身体感覚の変容を通じて、よりリアルな心理的体験を提供します。
アートと技術の融合
ナカダリオは、Unity EngineやGPUを使い、3Dや流体演算、立体音響など、最先端の技術を駆使してこの作品を制作しました。彼女は、作品のクライマックスでは水を手で変形させるインタラクションを取り入れ、この技術を通じて新たな表現を試みています。
当事者としての視点を活かす
『Nox』のもう一つの特長は、精神的な苦痛に苦しむ当事者が、単なる観察者ではなく、創造の中心にいる点です。「私たちのことを、私たち抜きに決めないで」という考え方に基づいて、ナカダリオは自らの体験を元に脚本を描き、技術開発を行っています。これにより、観客は精神的な苦痛を持つ当事者の視点をより深く理解することができます。
クラウドファンディングを通じての支援
『Nox』の制作チームは、ヴェネチア国際映画祭への渡航と展示に必要な資金を集めるため、近日中にクラウドファンディングを開始する予定です。この情報は公式サイトやナカダリオのSNSで公開される予定です。
監督・ナカダリオのメッセージ
ナカダリオは、「Nox」という作品が心の傷を抱えるすべての人に捧げられていると語っています。そして、「どんなに辛い状況でも、そこに美しいものが存在することを信じたい」との思いを込めて制作したと述べています。_
まとめ
ナカダリオ監督の『Nox』は、精神的な体験をVRという新たな形で表現し、観客に深い内的な旅を提供します。ヴェネチア国際映画祭での展示が待たれるこの作品は、映画という枠を超えた新たな可能性を秘めています。