孤独対策を国際的に議論する新たな試み—クロスフィールズの挑戦

孤独対策を国際的に議論する新たな試み

近年、孤独や孤立の問題は、国内外で重要な社会課題として認識されています。日本では特に高齢者や子育て世代における孤立が深刻であり、これに対する対策が急務となっています。そんな中、NPO法人クロスフィールズは2022年より「Co-Create事業」を開始し、孤独・孤立の課題解決に向けたさまざまな活動を展開してきました。

2023年から始まったグローバルな学び合い事業では、孤独対策に取り組む国際的なリーダーたちが日本に集まり、実際の取り組みを視察しました。参加者には、ロサンゼルス郡高齢者・障害者支援局のローラ・トレホ博士や、Campaign to End Lonelinessのポール・カン氏など、著名な専門家が名を連ねています。

日本での視察活動

彼らは、内閣府の孤独・孤立対策推進室や、豊島区のNPO・ほんちょこ食堂、愛知県名古屋市のLivE Qualityグループ、宮崎県三股町のコミュニティデザインラボなど、各地の実践事例を訪れました。特に、地域が主体となって居場所づくりを行っている事例に感銘を受けたとのことです。

視察のフィナーレでは「孤独・孤立の予防に関する日米英リーダーによる対談イベント」を実施し、約40名の参加者が集結しました。この場では、日本の特徴的な孤独対策の取り組みについて、相互に意見を交換しました。

日本の強みと課題

日本における孤独・孤立対策の特長として、多世代・多主体の参加設計が挙げられます。高齢者や子育て世代が共通体験を通じて交流し、居場所を育むコミュニティが形成されています。また、支援という形にとどまらず、「共に創る」プロセスが重要視されており、住民の尊厳や当事者意識も増しています。

一方で、米国や英国では、制度的な整備が進んでおり、成果を測定する仕組みも確立されています。この点では、日本の取り組みが国際的な視点から見ると改善の余地があるとの指摘もあります。

世界的な連携と今後の展望

今年7月、世界保健機関（WHO）は「社会的つながりに関する報告書」を発表し、孤独・孤立に対する関心が世界中で高まっています。クロスフィールズは、今後も視察参加者を通じて国際的なリーダーとの間で対話を重ね、孤独対策の重要性を広めていくことを目指しています。さらには、他国との学び合いを通じた持続可能な実践や情報発信も進めていく計画です。

孤独・孤立対策は、一国では解決できないグローバルな課題です。国境を超えた連携を強化し、持続可能な社会を築くための挑戦は、今後も続いていくでしょう。これにより、居場所づくりやつながりの文化が、全世界で広がることを期待しています。