日本精工が新たに開発した精密軸受「ロバストライド™」
日本精工株式会社(NSK)は、この度、工作機械の生産性を向上させるための新しい精密軸受「ロバストライド™(ROBUSTRIDE™)」を発表しました。この軸受は、長寿命と高速運転を実現し、エネルギーの効率化にも寄与することが期待されています。これにより、機械のメンテナンス頻度を減らし、運用コストの低減にもつながります。
開発の背景
近年、脱炭素化に対する意識が高まる中、工作機械における「グリース潤滑」が注目されています。この潤滑方式は、電力消費が少なくて済むため、環境への負荷を軽減できるという利点があります。しかし、グリースは時間とともに劣化しやすく、特に高速運転時にはその寿命が短縮されるため、頻繁な交換が必要になるという課題がありました。これを解決するためには、軸受の長寿命化と高速化が求められていました。
新技術の搭載
新開発の「ロバストライド™」軸受は、グリースの封入量を増やし、保持器の耐久性を強化することで、グリースの寿命を最大約60%延長し、許容回転数は約20%向上しています。また、グリースの慣らし運転時間も大幅に短縮され、これまでの約1/3に抑えることに成功しました。これにより、機械の立ち上がり時間を短縮し、エネルギー消費を削減する効果も期待されています。
今後の展望
NSKは、2024年11月5日から11日に開催される「JIMTOF2024 第32回日本国際工作機械見本市」において、この新しい精密軸受を出展する予定です。そして、2025年度に量産化を目指し、2030年には年間10億円の売上を達成することを目指しています。このように、ロバストライド™は、工作機械産業に新たな風を吹き込む役割を果たすでしょう。
NSKの企業理念
NSKは1916年に日本初の軸受を製造して以来、100年以上にわたって様々な革新的な製品を世に送り出してきました。今では約30ヶ国に拠点を持ち、世界各地で業界をリードしています。企業理念として「MOTION & CONTROL™」を掲げ、持続可能な社会の実現と人々の結びつきの強化を目指しています。2026年に向けて「新しい動きをつくる。」というビジョンのもと、社会と共に発展していくことを目指しています。
このような取り組みを通じて、NSKは今後も工作機械とその周辺産業の成長に寄与し、持続可能な未来を実現するための技術革新を続けていくでしょう。