初の「オーストラリアうにサミット」の開催
2025年5月21日から22日、環境保全において先進的なタスマニア州ホバート市で行われる第1回「オーストラリアうに(UNI)サミット」が注目されています。このサミットは、日豪の連携による海洋再生と産業イノベーションをテーマに、約60名の専門家や関係者が集まり、議論を展開します。
サミットの背景
このイベントは、株式会社北三陸ファクトリー、一般社団法人moova、タスマニア大学の海洋南極研究所(IMAS)という三者の共催によって成り立っています。日豪の研究者、環境団体、漁業関係者、シェフ、政府関係者らが参加し、海洋環境保全と経済的価値創出の両立を目指した意義ある対話が予定されています。タスマニア沿岸に広がるケルプフォレスト(海藻の森)の再生を主題にしたプレゼンテーションも行われ、参加者たちは持続可能な未来に向けた新しいアイデアを模索します。
サミットの主なトピック
1.
海洋生態系の再生
タスマニアのケルプフォレストを回復させるためのアプローチとして、ロングスパインウニの過密化に対応する協働プロジェクトの提案がなされます。
2.
経済的可能性の探求
タスマニア産ウニを原料とした持続可能な産業を育成するための具体的な戦略を検討します。
3.
文化・知見の越境連携
研究者や事業者が国を越え協力し、新たな価値創造に向けた試みが進められる予定です。
このサミットを機に、タスマニア沿岸でのジャイアントケルプ再生プロジェクトが始動し、日本におけるうにの加工技術や知見が活かされることが期待されています。
参加者の声
北三陸ファクトリーの代表、下苧坪之典氏は「今回のサミットは、日豪のパートナーシップによる環境問題の解決と新たな産業創出の可能性を示すものです。両国が手を組むことで、海を再生しながら持続可能な産業を開拓できると確信しています」と語っています。また、タスマニア大学のジョン・キーン博士も「このサミットは、環境課題に対する協働的なアプローチだけでなく、経済成長や文化の理解の促進にも寄与する機会です」と述べ、期待感を示しました。
さらに、一般社団法人moova代表の眞下美紀子氏は「日本とオーストラリアのリーダーたちをつなぎながら、海の持続可能性に向けた信頼に基づく関係を構築できたことは非常に意義深いです」と感想を述べています。
主催者の紹介
岩手県洋野町に位置する北三陸ファクトリーは、世界唯一の「うに牧場®︎」を運営し、高品質なウニを提供しています。持続可能な水産業に向けた取り組みを進めており、今回のサミットでもその技術や知見を発信する役割を果たします。
2022年に設立されたmoovaは、海藻資源の減少に伴う海の砂漠化を食い止めるため、藻場再生活動に取り組んでいます。サミットを通じて日豪間の関係深化に貢献しています。
タスマニア大学のIMASは、海洋・南極研究の最前線を行っており、気候変動や生態系に関する研究を通じて、サミットの基盤を提供しています。
このサミットが、オーストラリアと日本のパートナーシップをさらに強化し、海洋環境の保全と持続可能な産業の発展への新たな道を開くことが期待されます。