木村紅美『熊はどこにいるの』が第61回谷崎潤一郎賞を受賞!
2025年8月29日、令和7年における第61回谷崎潤一郎賞の受賞作品が発表されました。著者の木村紅美さんによる『熊はどこにいるの』が選ばれ、今、文学界で注目されています。本作は、中央公論新社主催の賞で、選考委員には著名な作家や評論家が揃い、厳正な審査が行われました。今回、池澤夏樹、川上弘美、桐野夏生、堀江敏幸の4氏が選考に参加し、傑出した作品として木村さんの小説が選ばれました。
この受賞発表は、文芸界において一つの大きな話題となり、選評は『中央公論』の11月号に掲載予定です。また、贈賞式は10月21日、東京にて行われるとのこと。木村さんは、読者からの熱い支持を受け、この喜びをかみしめていることでしょう。
小説の内容とテーマ
『熊はどこにいるの』は、震災から7年後の“M市”を舞台にした物語です。山奥で半自給自足の生活を送るリツとアイ、津波によって希望を失ったサキ、そして災後のボランティアを経験したことで新たな場所に越してきたヒロの4人の女性たちが、それぞれの過去に隠された傷と向きあいながら、運命に翻弄されていく姿を描写しています。
物語は、未知なる運命の幼児をめぐるストーリーとして、多くの人々が抱える内面的な葛藤や、過去からの逃れられない影を色濃く映し出しています。それぞれのキャラクターは、災害や人間関係において避けがたい現実に立ち向かう姿を通じて、読者に深い感動を与えます。
受賞の背景と評価
木村紅美さんの代表作と言える『熊はどこにいるの』は、前作『あなたに安全な人』の成功に続き、圧倒的な支持を得ています。この作品は、発表以来多くの文芸誌で取り上げられ、「文芸時評」にも鋭い評価が寄せられました。古川日出男氏や斎藤真理子氏といった著名な作家たちも、それぞれの批評を通じて、本作の強度を称賛しています。
古川氏は「こんなに強い小説は滅多にない」と絶賛。一方で、斎藤氏は「止まらない余震のような小説」というコメントを残しています。これらの意見からも、作品の持つ力強さと人間存在の脆さが改めて浮き彫りにされています。
著者の経歴
木村紅美さんは、1976年生まれで2006年に「風化する女」でデビューを果たしました。その後も、様々な賞を受賞しつつ精力的に小説を執筆。著作には、『月食の日』『夜の隅のアトリエ』『雪子さんの足音』など多彩なテーマの作品があり、作家としての幅広い表現力が高く評価されています。
書誌情報
- - 書名: 『熊はどこにいるの』
- - 著者: 木村紅美
- - 仕様: 46判/上製/192ページ
- - 発売日: 2025年2月6日
- - 定価: 税込1980円(本体1800円)
- - ISBN: 978-4-309-03946-6
- - 装画: しろこまタオ
- - 題字: 柴山素
- - ブックデザイン: 鈴木成一デザイン室+宮本亜由美
- - 書誌URL: 河出書房新社
このように、木村紅美さんの新作『熊はどこにいるの』は、今後の文壇に大きな影響を与える一作として、ぜひこの機会に手に取ってみてはいかがでしょうか?