全点公開の特別展「源氏物語絵巻」
徳川美術館が開館90周年を迎え、国宝「源氏物語絵巻」を特別展として10年ぶりに全点公開すると聞くと、多くの美術愛好家や歴史に興味を持つ人々にとって、興奮と期待が高まります。この特別展は、平安時代の文化を伝える貴重な作品を一堂に見ることができる貴重な機会です。特に「源氏物語絵巻」は、900年の長い歴史を経てなお、多くの人々に感動を与える作品として知られています。
「源氏物語絵巻」がどのようなものかについて、まずはその背景を見てみましょう。この絵巻は、紫式部が著した平安時代の小説「源氏物語」を、文章(詞書)と絵で表現したもので、平安時代から現代にかけて多くの絵が描かれました。その中で、徳川美術館と五島美術館が所蔵する国宝「源氏物語絵巻」は、現存する最古の絵巻として評価され、一部は贈り物として徳川家や蜂須賀家を通じて伝えられてきました。
今般の展覧会では、現存する全点が一堂に公開されるため、国宝としての価値を体感できる貴重な機会となるでしょう。特別展では、各巻がひとつの物語を構成する形式で展示され、観覧者は平安時代の物語の魅力に浸ることができます。
形を変えた二つの国宝
この展覧会では、徳川本と五島本の二つの異なる形式で「源氏物語絵巻」を鑑賞することができ、その対比を楽しむことができます。徳川本は、保存状態を考慮して額装された形式であり、五島本はそのままの形で展示されます。双方の美しさや保存状態の違いを観察することで、作品に対する理解を深めることができるでしょう。
加えて、平成復元模写事業によって、かつての作品の色彩や姿を現代の技術で忠実に再現した作品も展示されます。こうした模写作品もあわせて見ることで、源氏物語がどのような形で人々に受け入れられてきたのかを知ることができます。
絵巻の魅力と見どころ
「源氏物語絵巻」の魅力は、その描かれた人物の表情や細かな描写にあります。特に、独特の技法で描かれた顔や体は、観覧者に感情移入を促す要素が含まれており、物語の深いテーマに引き込まれます。中でも、「柏木」や「鈴虫」といった重要な場面を通じて、光源氏の人生や複雑な人間関係が視覚的に語られています。
展覧会を訪れた際には、是非それぞれの登場人物がどのような背景を持つのか、どのような感情を抱いているのかを考えながら観覧してみてください。彼らの物語が描かれた場面をじっくりと観察することで、「源氏物語」の真髄に触れることができるでしょう。
開催情報
この特別展は、2025年11月15日(土)から12月7日(日)までの期間中、徳川美術館本館展示室で開催されます。一般の料金は1600円、高校生以上は800円、小中学生は500円となっており、毎週土曜日は高校生以下の入場が無料となっています。
美術館は名古屋市内に位置し、アクセスも良好。混雑が予想されるため、事前にオンラインチケットを購入することをおすすめします。観覧者が大勢集まるこの機会を、ぜひお見逃しなく!