TOPPANエッジとPartisiaが共同でデジタル学生証実証実験を開始
TOPPANホールディングスの子会社であるTOPPANエッジ株式会社とデンマークのPartisia Applicationsは、沖縄科学技術大学院大学(OIST)においてデジタル学生証の実証実験を行うことを発表しました。実証実験は2025年の6月から9月にかけて実施され、最先端の顔認証技術と分散型ID技術を活用した新たな学生証の開発を目指しています。
実証実験の背景
日本国内の大学生の人数は約295万人に達し、その中でも多くの大学が従来のICカード式の学生証を採用しています。しかし、発行管理業務の負担や、本人確認の安全性に関する問題が指摘されており、デジタルでの身分証明手段へのニーズが高まっています。特に新入生に対しては、合格後の短期間での個人情報を含む学生証の発行が求められ、手間とリスクが伴います。これを受けて、個人が自らのデータを管理できる「自己主権型アイデンティティ(SSI)」の考え方が注目されており、DIDs(分散型識別子)やVCs(検証可能な資格情報)技術が普及しています。
デジタル学生証の仕組み
今回開発されるデジタル学生証は、TOPPANエッジの顔認証クラウドサービス「CloakOne®」にPartisiaの分散型ID技術が組み込まれ、スマホのNFC機能を活用して本人確認を行います。これにより、従来のICカードと同様、スマホで簡単に本人確認が可能となります。さらに、EUのデジタルID規格「eIDAS2.0」の基準を満たすことで、学生のデジタルIDを高いセキュリティで管理し、試験や学内施設の利用時の本人確認がスムーズに行えるようになります。
実証の進行とターゲット
実証はOISTにおいて行われ、対象は応用暗号ユニットの学生50名を予定しています。実施内容は二つのフェーズに分かれており、第一フェーズ(2025年6月~8月)ではスマホを用いた本人確認による出欠席管理が行われ、第二フェーズ(2025年8月~9月)ではNFCによる学生の識別と施設へのアクセスコントロールが検証されます。これにより、国際的な環境でデジタル学生証の有効性を証明し、グローバル展開を視野に入れた検証がなされることになります。
今後の展開
TOPPANエッジとPartisiaは、実証結果を基にデジタル学生証の開発を加速させ、2025年中に大学や教育機関向けのプラットフォームを提供する計画です。特に2026年度の新入生からの導入を目指し、さらなる利便性の向上とセキュリティ強化を図っていく考えです。
PartisiaとTOPPANエッジについて
Partisiaは、デンマークに本社を構える企業で、個人情報を保護しつつプライバシーを活かしたDIDsやVCsのプラットフォームを提供しています。一方TOPPANエッジは、ビジネスプロセスの変革を支援するソリューションを展開しており、デジタル領域での取り組みを強化しています。双方が協力することで、教育現場においても新たな価値を創造する施策が期待されています。
この新たなデジタル学生証が登場することで、教育現場における安全性と利便性の両面が大幅に改善されることが期待されています。未来の大学生たちにとって、より快適で安心な教育環境が整う可能性が広がるでしょう。