住友ベークライトが世界初のリグニン変性フェノール樹脂を商業化
住友ベークライト株式会社(品川区に本社を構え、代表取締役社長は藤原一彦氏)は、やっとの思いで世界初となる『固形ノボラック型』リグニン変性フェノール樹脂の商業販売を開始しました。この新製品は、非可食性のバイオマス由来原料であるリグニンを活用しており、主に自動車分野での利用を目指しています。
環境負荷軽減を目指して
近年、プラスチックの使用に伴う環境負荷の問題が顕著になっています。これに応えるためには、資源循環や温室効果ガス(GHG)排出の削減を具体的に進めなければなりません。特に、使用後に焼却または摩耗する用途においては、リサイクルが難しいケースが多いため、非可食バイオマス由来の材料に変換する必要性が高まっています。
固形ノボラック型リグニン変性フェノール樹脂の特性
この新しい樹脂は、高い耐熱性を持つため、厳しい条件で使用されるプラスチックに最適です。従来の石油由来の原料から、持続可能なバイオマスへと転換することで、環境への負荷を軽減することが期待されます。住友ベークライトは、これまでもリサイクル技術とともにバイオマス利用を進めており、2010年からの基礎研究やNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)との協力を経て、この商業化にたどり着きました。
量産体制の構築
今回の製品の量産には、安定調達が可能な紙パルプの副産物である「パルプ製造法由来リグニン」を活用しました。これによって、世界初のリグニン変性フェノール樹脂の商業化が実現し、特に自動車産業での利用が広がる見通しです。スミライトレジンPR-L-0002は、RCS(レジンコーテッドサンド)メーカーによってバインダー樹脂として採用され、2024年から一部自動車鋳造部品の生産で使用される予定です。
環境に優しいバインダー樹脂の展望
新たに商業化された高強度用RCSバインダー樹脂は、バイオマス率が15%であり、従来の製品と比べて化石燃料の使用量を15%削減できる見込みです。今後も、さらなるバイオマス率の増加を目指し、30%を超えることを目標にしています。
今後の展望と意気込み
この新しい樹脂は自動車部品以外にも様々な用途が期待されており、住友ベークライトはさらなる市場への適用拡大を図っています。環境への配慮を最大限に考えた製品開発を続けることで、持続可能な社会の実現を目指します。今後もNEDOとの共同研究による新技術の開発にも注力し、環境価値の創出に貢献していく所存です。
詳細については、住友ベークライトの公式ウェブサイトにてご確認いただけます。