2024年年間ベストセラー発表!注目作品とその背景に迫る
2024年11月29日、日本出版販売株式会社(日販)が発表した2024年の年間ベストセラーランキングが話題を呼んでいます。このランキングは2023年11月22日から2024年11月19日までの販売データを基にしていますが、特に目を引くのが、ホラー作品でありYouTuberとしても活躍する雨穴の『変な家2 ~11の間取り図~』が堂々の1位を獲得した点です。
この作品は、シリーズ第一作目の『変な家』も第5位にランクインし、シリーズ全体の人気の高さを示しています。またシリーズ累計発行部数が224万部を超えており、雨穴の作品が多くの読者に支持されていることが分かります。このように、同一シリーズや関連作品が複数ランクインする傾向は、読者の間での作品人気の根強さを示唆しています。
さらに、ランキング全体では、フィクションとリアルの狭間に位置するモキュメンタリー形式の作品が注目されています。この手法はフィクションをドキュメンタリー風に演出しており、『近畿地方のある場所について』や『口に関するアンケート』などもランクイン。これにより、読者はより没入感のある体験を求めており、フィクションとリアルの融合が新たなトレンドとなっていることが分かります。
また、社会の動きに応じて、出社回帰や人とのコミュニケーションのニーズが高まる中、美容本や時短レシピ本の人気も急上昇しています。特に、タレントのMEGUMIが執筆した『キレイはこれでつくれます』は、実用書として第16位にランクインし、女性を中心に支持を集めています。この背景には、テレワークからの出社回帰が影響していると考えられています。
ビジネス書に関しても、心理学的な視点を取り入れた『頭のいい人が話す前に考えていること』が年間ランキングで第7位を獲得し、長年のロングセラー作品や新たなヒット作品が上位に揃いました。また、児童書分野でも『大ピンチずかん2』や『パンどろぼう』シリーズが大躍進し、子ども向けのエンタメが強く支持されていることが伺えます。
さらに、新書ノンフィクション部門では、三宅香帆著の『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』が話題を呼び、書店員の強い想いを反映したこの作品がランキング1位を獲得しました。これは、社会人になったことで本を読む時間が減少した多くの人に共感を与えるテーマです。なぜなら、今の時代、高いストレスと求められる働き方の中で、自分の時間を持つことの難しさが読者に響いているからです。
最後に、文学作品として名著が文庫化されつつある中、ガブリエル・ガルシア=マルケスの名作『百年の孤独』が文庫版ながらランクインした点も特筆すべきです。52年の時を経て文庫化されることで新たな読者を呼び込み、その神秘的な魅力を再確認させています。
このように2024年の年間ベストセラーランキングは、多様なジャンルからの作品が集結し、社会の動向や読者のニーズを反映した結果であることがわかります。今後も、これらのトレンドや作品がどのように展開していくのか、引き続き見守っていきたいものです。
会社情報
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日本出版販売株式会社
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