食品微生物リスクを非破壊・経時的に評価する新手法の開発
日本新薬株式会社が京都大学大学院と共同で進めてきた研究から、食品表面における微生物の増殖を評価する新たな非破壊手法が開発されました。この新技術は、顕微鏡観察とデジタル画像解析を組み合わせることによって実現されており、食品業界における腐敗リスク評価に革命をもたらす可能性があります。
新手法の概要
新たに開発された手法は、従来のコロニーカウント法に依存することなく、食品上での微生物の増殖を効率的に把握することができます。以前は、植菌試験には約72時間かかるという長期間を要する上、サンプルを破壊してしまうため、同一サンプルの経時変化を追跡することが非常に困難でした。しかし、今回の新手法を使用することで、その時間を最短で約6時間にまで短縮することができるのです。この短縮により、食品の保存性評価や日持ち向上剤の効果検証がより迅速に行えるようになります。
● 具体的なメリット
- - 効率化: 従来の手法では、調査に多くの工程が必要でしたが、新手法では単一のサンプルで経時的な観察が可能になりました。
- - 非破壊評価: 食品を破壊することなく、微生物の増殖状況を評価できるため、実用性が高まります。これにより、同一サンプルから繰り返しデータを取得することが容易になります。
- - 多様な使用可能性: この手法は食品の品質評価だけでなく、新しい製品の開発段階においてもその効果が期待されています。保存試験条件の予備評価や腐敗リスクのスクリーニングなど、幅広く活用できる基盤が整いました。
研究の背景
日本新薬株式会社は、医薬品事業での豊富な研究開発経験を活用し、機能食品事業へも応用してきました。特に食品の品質保持に関わる日持ち向上剤の研究には60年以上の歴史があります。このような背景から、当社は新たな微生物評価手法の開発に着手しました。
今後の展望
今後、この新手法を利用することで、食品開発の現場での意思決定が迅速に行えるようになると期待されます。特に、日持ち向上剤の効果確認や腐敗リスク評価を効率的に進められ、結果的に食品の安全性向上に寄与することが見込まれています。また、開発サイクルの短縮により、品質トラブルの未然防止も期待できるでしょう。
まとめ
日本新薬が誇るこの新技術は、食品業界において大きな影響を及ぼす可能性を秘めています。微生物リスク評価の効率性を高めることで、食品の安全性と品質の向上に貢献していく構想を持つ当社は、今後も科学的知見や技術開発を通じて、食品の品質評価技術の高度化に邁進していくでしょう。
関連文献
Tamiya, H., Tsuda, K., Akasaka, N., Kikuchi, R., Ogawa, J., 2024. Construction of a convenient microbial-growth observation system based on microscopic image analysis applicable to the evaluation of preservative effects. Food Control 163, 110541.
DOIリンク
お問い合わせ
日本新薬株式会社機能食品カンパニー食品科学研究所
〒601-8550 京都市南区吉祥院西ノ庄門口町14
公式ウェブサイト