社員の幸福は制度からだけでは得られない、その真因とは

近年、企業のウェルビーイング経営が注目されていますが、株式会社DroRが発表したホワイトペーパーによると、制度を整えるだけでは真の社員の幸福を実現することは難しいとされています。

背景：日本のエンゲージメントの低さ

Gallup社の2024年の調査『State of the Global Workplace 2024』によれば、世界のエンゲージメント率は21%ですが、日本はわずか5%という低さにとどまっています。これは、制度が整っているにもかかわらず、社員が本音を言えなかったり、評価に不安を感じたりすることが大きな要因とされています。

DroRはこの問題を“空気の問題”ではなく“構造の問題”として捉え、経営の基盤を根本的に見直す必要があると提案しています。

提言：空気を変えるのではなく構造を設計する

DroRのホワイトペーパーでは、組織運営における誤解を解きほぐし、利益ではなく社員の幸福に焦点を当てた新たな関係性を築くことが求められています。以下の3つの誤解をピックアップし、再定義を提案しています。

1. 雑談を増やせば心理的安全性が生まれるという誤解
単に雑談を増やしただけでは、深い対話にはつながりません。意味のある会話を通じて感情を共有できる場を設けることが重要です。

2. 制度を作れば自然に使われるという誤解
制度を導入するだけでは社員の行動は変わりません。制度の利点や目的を介して社員に理解してもらう必要があります。

3. ウェルビーイングは測れないという誤解
実は、ウェルビーイングは感情や関係性を探索することで理解可能です。これらを定量的に評価する手法も存在します。

このように、DroRは「感情を自然に言語化できる場」や「価値観を語れる文化」の形成を通じて、幸福な組織作りの基盤が構築されると主張しています。

実践成果：構造を変えた企業の成功

実際にDroRがサポートした企業では、様々な成果が報告されています。たとえば、意思軸を明確にした朝礼を取り入れた結果、前年比売上が2倍に達成されました。また、制度の目的を定期的に共有することにより、社員が制度を積極的に利用する体制が築かれたのです。

加えて、「3つの良かったこと＋1つの改善」を共有する習慣を作ることで、心理的安全性が自然と育まれ、社員同士の信頼関係が深まる文化も醸成されています。