世界遺産「コパン遺跡」をVRで体感する新技術
ホロラボが開発した革新的なVRツアーが、世界遺産「コパン遺跡」を新しい形で体験できるようになりました。このプロジェクトは、ホンジュラス国立人類学歴史学研究所(IHAH)や独立行政法人国際協力機構(JICA)、公立小松大学との共同作業で実現しました。博物館に常設展示として公開され、訪れる人々にコパン遺跡の魅力を伝えています。
コパン遺跡は、1980年にユネスコの世界遺産として認定されたマヤ文明の宝です。精巧な石碑や神聖文字が刻まれた階段など、その芸術性は世界中で知られています。ホンジュラスには豊かな自然もあり、コーヒーの生産地としても名高い国です。文化遺産が多く残るこの地域で、ヴァーチャルリアリティ(VR)を使った新しい体験方法が取り入れられました。
VRツアーの内容と利点
このVRツアーは、コパン遺跡の地下に隠された非公開区域をデジタル空間で再現しています。特に注目されるのが、トンネル内部の高密度な点群データを基にした再現技術です。このデータを用いて、利用者はまるで実際にその場にいるかのような感覚を得ることができます。コパン遺跡の地下神殿やトンネルを探索し、マヤ文明の謎に迫ることができるのです。
利用者は「Meta Quest 3」を装着することで、三次元空間を体験します。VRによる体験は、ただの観光ではなく、学びの要素も持っています。保存が必要なため一般の立ち入りが禁じられた神殿の内部を、手軽に探検できる点が大きな魅力です。本プロジェクトは、観光振興にもつながることが期待されています。
技術の背景
このVRツアーの実現には、高度な技術が求められました。コパン遺跡のトンネル内部に関する19億点もの点群データをリアルタイムで滑らかに表示する必要があったためです。ホロラボは「Dawn」という新たな高速点群表示システムを開発し、データサイズを最大95%削減しつつ必要な情報を保持するという技術的挑戦を克服しました。
Dawnは、ユーザーの視点に応じて最適な部分を描画するシステムで、一般的なPCやスマートフォンでも快適な使用が可能です。この技術により、VR体験が多くの人に届く可能性が広がりました。
文化遺産の新しい楽しみ方
コパン遺跡のVR体験は、今後の文化遺産の楽しみ方を根本から変えるかもしれません。現地スタッフへの技術指導も行い、持続可能な展示運営が可能となっています。三カ国語(スペイン語、英語、日本語)に対応することで、世界中より多くの人がこの貴重な体験を楽しめるようになっています。
まとめ
このVRツアーは単なる観光コンテンツではなく、文化や歴史を学ぶための重要な手段となっています。マヤ文明の理解を深めることができ、観光業界に新しい風を吹き込むことでしょう。今後の文化遺産の発展に、このような技術が重要な役割を果たすことが期待されます。