誰もが楽しめる読書環境を目指して
株式会社KADOKAWAは、出版業界の中で「誰もが楽しめる読書社会」を実現するために、アクセシビリティ向上に向けた多くの取り組みを進めています。近年、読書に関するバリアフリーの重要性が広く認識される中、KADOKAWAは特にその実現に向けた基盤を築いてきました。
アクセシビリティ向上への背景
2019年に施行された「読書バリアフリー法」は、視覚障害者をはじめとする読書困難者の環境整備を促進する法律です。しかし、現実には多くの人々が「読みたいのに読めない」という状況に直面しています。世界盲人連合のデータによれば、先進国においても視覚障害者が読める書籍の割合は約7%に過ぎず、これが「本の飢餓」とも呼ばれる現状を引き起こしています。KADOKAWAはこの課題に真正面から取り組むことを決意し、各種の施策を展開しています。
KADOKAWAの主な施策
1. 電子書籍の提供拡大
KADOKAWAは、電子書籍の提供において特に力を入れており、20年以上の歴史を持つ電子書籍の発行数は2025年には累計16万点を超える見込みです。その中には32,000点以上の音声読み上げ(TTS)対応書籍が含まれ、読書困難者にとっての貴重な資源となっています。さらに、公共図書館での電子書籍利用を促進するために、日本電子書籍図書館サービス(JDLS)にも参画しています。
2. オーディオブックの展開
KADOKAWAは2007年からオーディオブックの制作に取り組んでおり、現在では2,000点以上の作品を提供しています。この中には文学やライトノベル、ビジネス書など多様なジャンルがあり、視覚障害者や学習障害者など、読書が難しい人々にも支持されています。耳で本を楽しむ新たな体験は、読書の楽しみを広げています。
3. 従業員向け勉強会
KADOKAWAは社内でバリアフリー図書やユニバーサルデザインに関する勉強会を開催し、従業員の意識向上にも努めています。2025年には、専門家を招いて読書困難者のニーズや出版社の役割についての理解を深める機会を提供する予定です。こうした取り組みを通じて、出版業界全体のアクセシビリティ向上に寄与する狙いがあります。
その他の取り組み
KADOKAWAは、視認性の高い大活字本を展開する「角川つばさ文庫 大活字本」のシリーズを始め、視覚的な配慮を持った書籍を増やしています。また、発達障害に関する教育・福祉活動にも協力し、テーブルトーク・ロールプレイングゲーム(TRPG)のワークショップで関連書籍を展示しています。
KADOKAWAについて
KADOKAWAは、出版、映像、ゲーム、Webサービスなど多岐にわたる事業を展開する総合エンターテインメント企業です。多彩な知的財産を創出し、グローバルに価値を届ける「グローバル・メディアミックス with Technology」戦略を推進しています。今後も読書バリアフリーを実現するための取り組みは続けられ、より多くの人々に豊かな読書体験を提供することが期待されています。