金融審議会が進めるサステナビリティ情報開示と保証制度の展望

サステナビリティ情報の開示と保証制度の最新動向



令和6年12月2日、金融庁で開催された金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」の第5回会合において、サステナビリティ情報の開示と保証制度に関する重要な議論が行われました。本記事では、その議論の要点や今後の展望についてまとめます。

会合の概要


本会合は対面およびオンラインでの参加が可能であり、事務局からの資料説明後、委員からの質疑応答や討議が行われました。主な議題として、セーフハーバー、確認書の改訂、保証制度の枠組みが挙げられました。

セーフハーバーについて


セーフハーバーとは、サステナビリティ情報の開示に関する責任を企業が負う場合、合理的根拠がない限り、虚偽記載とは認められない制度のことです。委員からは、セーフハーバー制度が投資家の信頼を確保するために重要であり、海外の事例を参考にして、日本でも法改正を含む制度設計が必要との意見が出されました。

確認書の改訂


確認書の役割は、企業が開示した情報の適切性を表明し、サステナビリティ情報の信頼性を高めることです。しかし、現行の確認書に追加される記載内容や責任は過度にならないかとの懸念も。確認書に明記される内容についての論議が必要です。

保証制度の枠組み


ワーキング・グループでは、保証制度の適用範囲をどう規定していくかが話し合われ、ガバナンスやリスク管理を含めた保証制度の導入が重視されています。保証制度は企業にとってコストがかかる一方で、この仕組み自体が信頼性の向上に寄与することが期待されています。

保証の担い手の多様化


保証提供者についても、監査法人だけでなく他の専門家による保証が可能である「profession-agnostic制度」の導入が提案され、これからの議論が必要とされています。これにより、保証業務の質を確保し、コスト効率を高める方向性が示されています。

今後の展望


サステナビリティ情報の保証制度に関する専門グループを設置し、さらに詳細な議論を進めていくことが決定されました。専門グループでは、今後の国際的な動向を踏まえた上で、日本独自の保証制度のあり方についてさまざまな意見が交わされることでしょう。また、企業側も自社のガバナンスやリスク管理の実態を反映した開示に努めることが求められます。

このワーキング・グループの議論は、サステナビリティ情報の信頼性と透明性を高めることに寄与する重要なステップであり、今後の動向が広く注目されるでしょう。

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