岡山大学が新たな動物用医薬の研究へ向けた資金を獲得
2025年4月29日、国立大学法人岡山大学の内山淳平准教授が、「PSI GAPファンド・ステップ2」に採択され、抗菌酵素を用いた新たな動物用医薬品の研究に着手します。このファンドは、中国・四国地域の大学から構成される「Peace & Science Innovation Ecosystem(PSI)」の一環で、その目的は科学技術の進展を促し、社会への実装を加速させることにあります。内山准教授の提案する研究テーマは、薬剤耐性菌の問題に立ち向かうための「抗菌酵素」を応用した抗菌剤の開発です。
新たな抗菌酵素の開発
内山准教授は、独自に構築した抗菌酵素のデータベースと革新的な分子設計技術を駆使して、特定の細菌に対して高い効果を発揮する抗菌酵素を開発する計画を立てています。この研究は2025年4月から2028年3月までの3年間にわたって行われ、総額約6000万円の研究費が投入されます。内山准教授は、「動物用抗生物質の使用が制限される中で、抗菌酵素は新たな選択肢として注目を集めています。この研究を通じて、国内外のニーズに応える効果的な動物用医薬品の開発を目指します」と語ります。
投資と支援の内容
「PSI GAPファンド」は、単に資金を提供するだけでなく、起業を目指す研究者に対して起業準備やライセンス展開のための支援プログラムを提供します。特に、ステップ2の採択者には、アクセラレーションプログラムや専門的な支援人材による伴走支援が行われ、さらには国際展開に向けた支援も充実しています。内山准教授は、「このプロジェクトを通じて、日本発の抗菌酵素医薬品の事業化が進み、世界的な薬剤耐性菌の問題解決に貢献できることを期待しています」と述べています。
国内外のニーズに応える
内山准教授の研究は、単に科学技術の発展にとどまらず、実際の動物医療の現場でのニーズにも応えるものとなります。抗菌酵素を利用した新しい医薬品は、薬剤耐性菌への対策として重要な役割を果たすことが期待されており、特に畜産業において大きな影響を与えるでしょう。この研究が進展すれば、動物用医薬品の国際競争力が強化され、岡山大学はそのまま日本のアグリテック分野における重要なプレイヤーとしての地位を確立することができるでしょう。
研究の今後の展望
岡山大学では、2025年度のPSI GAPファンドの募集も近日中に予定されています。研究者や博士後期課程の学生で事業化を希望する方々はぜひこの機会を活用し、同大学のスタートアップ・ベンチャー創出本部に連絡してみてはいかがでしょうか。本学は、申請から事業化に向けての支援を行っており、伴走支援を通じて育成を行っています。
この岡山大学の新たな取り組みが、地域のみならず、世界に向けても大きな影響を与えることが期待されます。薬剤耐性菌という重要な課題に立ち向かう研究の進展に注目しましょう。