京都市では、ラグジュアリーな町家宿が注目を集めています。その中でも、株式会社レアルが運営する「鈴 京都宮川筋 hitotose穐-Aki-」は、最近のLIVホスピタリティ・デザイン・アワードにおいて、インテリアデザイン部門での受賞を果たしました。これはこの宿が持つ独特の魅力と、伝統的な日本の美意識を現代に適応させたデザインの賜物です。
この受賞は、京都市内で展開する宿泊施設66棟、375室を有するレアルの新たな節目とも言えます。特にこの「穐」の宿は、「陰翳礼讃」の思想を基に設計されており、陰影を重視した美しい空間が魅力的です。デザイナーの折原美紀氏とレアルのコラボによって生まれたこの宿は、和紙や柿渋、土、木、石といった自然由来の素材を用い、伝統と現代のデザインを融合させています。
宿には、和紙職人・ハタノワタル氏による手作りの和紙が施され、モダンでありながら、どこか懐かしさを感じさせるデザインが特徴です。また、大きな和紙の壁や、柿渋染めの和紙を使ったキッチン、天井から床までを覆った和紙の寝室など、細部にまでこだわった意匠が温かみのある空間を演出しています。
さらに特筆すべきは、柔らかな光を使ったライティングです。行燈のように優しい光が陰影をより引き立て、客室全体に落ち着いた雰囲気をもたらしています。このように、ルームデザインからライティングに至るまで、全てが一つのコンセプトのもとに結集し、最高級の宿泊体験を提供することを目指しています。
「hitotose」というシリーズ名には、春夏秋冬の季節を表す意味が込められています。受賞した宿の「穐」は秋を象徴し、そのネーミングは近くにある歌舞練場からの影響を受けています。今後は「夏」と「春」の町家宿も開設される予定で、ますますの進化が期待されます。
株式会社レアルは、今後3年間で京都市内に新たな500室を設ける計画を進めています。これまでの経験を基に、既存の施設のオペレーションを改善しながら、新たな宿泊施設の開発も行うとのこと。「デザインで様々なモノ・コトを繋ぐ」という理念のもと、折原美紀氏が代表を務める株式会社ODOとともに、一層のホスピタリティのサービス向上を追求しています。
これまでの宿泊施設のデザインの枠を超え、さまざまな取り組みを行うレアルの成長に注目です。宿泊だけでなく、文化体験も楽しめるという新たな形態の町家宿が京都の地で生まれつつある今、彼らが目指す「最高の空間とおもてなし」とはどのようなものなのか、実際に足を運んで体感するのも良いかもしれません。
施設概要:
- - 施設名:鈴 京都宮川筋 hitotose 穐-Aki-
- - 所在地:京都府京都市東山区宮川筋4丁目297番地10
- - アクセス:京阪電車「祇園四条駅」1番出口より徒歩約3分
- - 客室面積:186m²。
- - 定員数:4名(ダブルベッド×2、セミダブルベッド×2)
株式会社レアルは、宿泊業と不動産業を通じてこの地に深く根付いた事業を展開しており、宿泊事業を通じて日本の伝統美を国内外に伝え続けています。今後の新たな発展に期待が寄せられます。