新しい医療用放射線防護メガネの誕生
昭和光学株式会社と株式会社トクヤマは、東北大学大学院医学系研究科との共同研究により、鉛を使用しない医療用放射線防護メガネ「for® X-GUARD BieW」を2025年7月に発売することを発表しました。この新製品は、放射線業務従事者の健康を守るための重要なツールとして期待されています。
環境を配慮した新たな素材
本製品の最大の特徴は、トクヤマによって開発された鉛フリーの放射線防護材料を使用していることです。従来の放射線防護メガネは鉛を含むため、使用後は廃棄物として扱われる必要がありますが、「for® X-GUARD BieW」は環境毒性の低いビスマスを活用することで、通常の廃棄方法で処理できるのです。また、この材料は通常の鉛メガネと同等の防護性能を備えており、さらには優れた衝撃耐性も持ち合わせています。
優れた使用性能
新開発されたレンズは、チェルニングの楕円理論を基にした6カーブ設計を取り入れており、光学性能が大幅に向上しています。その結果、ユーザーはよりクリアで自然な視界を得ることができ、医療現場でのストレスを軽減することが可能に。さらに、自己防曇機能が搭載されているため、曇りにくいという特長もあります。
充実の機能性
レンズには、キズをつきにくくするハードコート、透過率を上げるARコート、さらには滑りやすく汚れが落ちやすいコートが施されています。フレームにも無鉛の放射線防護コートが使用されており、様々な方向からの散乱線に対応します。モデルは、オーバーグラスタイプのG601と度付き対応のP601が用意されており、多くのユーザーに合わせた選択肢があります。
改正規則に応える製品
2021年に施行された厚生労働省の「改正電離放射線障害防止規則」により、放射線業務従事者の眼に受ける線量の限度が引き下げられました。「for® X-GUARD BieW」は、この新基準に適合した製品であり、医療従事者が安心して使用できるメガネとしてその役割を果たします。
ITEM 2025での展示
2025年4月には、横浜で開催される「ITEM2025」にて「for® X-GUARD BieW」が出展される予定です。この展示を通じて、多くの医療従事者が新しい放射線防護メガネの特長に触れる機会となるでしょう。展覧会は4月11日から13日までの3日間行われ、昭和光学とトクヤマが共同で出展します。
共同研究の成果
製品に採用された感度は、東北大学大学院医学系研究科の医療用X線装置を用いて検証されており、その結果、77~95%の防護効果が確認されました。これは、従来の放射線防護メガネと同等の性能を保持していることを示しています。この新素材は多様な医療用途に展開可能で、今後は新しいカテゴリーのソリューションとして期待されています。
まとめ
「for® X-GUARD BieW」は、医療従事者の安全を第一に考えつつ、環境への配慮も忘れない製品です。これからの医療現場に新たな風を吹き込むこのメガネに、ぜひご期待ください。