台湾の機械業界最新動向：半導体から風力発電までの変革

台湾の機械業界最新動向

ワイズコンサルティンググループが発行した「ワイズ機械業界ジャーナル」の2025年6月第2週号が、台湾の機械業界における重要なトピックを取り上げています。特に、AIやEV向け需要の高まりを受けた電子部品産業や、TSMC（台湾積体電路製造）による巨額の対米投資に基づく半導体産業の変革に焦点が当てられています。

電子部品産業の動向

2025年第1四半期において、台湾の電子部品業界は前年同期比で10.3%の成長を達成しました。具体的には、受動部品やプリント基板（PCB）、センサーといった分野で堅調な需要が見られます。台塑新智能科技が稼働を開始したLFP電池セル工場は、80%超の自動化率を誇り、2.1GWhの生産能力を持つことから、今後の供給体制にも期待が寄せられています。

半導体産業の投資状況

台湾の半導体産業全体では、2025年第1四半期の生産額が前年同期比27.6%の増加を記録しました。TSMCの対米投資は1,650億ドルに達し、今後米国に半導体製造工場や先進パッケージング拠点を新設する計画もあり、台湾の半導体業界のさらなる成長が期待されます。また、米国の対中輸出規制が影響し、台湾の封止・検査企業は新たな受注を得ており、2025年後半には業績の上振れが見込まれています。

洋上風力開発の動向

洋上風力分野では、台湾の生産化政策が緩和され、日本企業にはリスク回避策が求められる状況となっています。2030年以降の洋上風力開発計画において、台湾生産化政策は事実上撤廃される見込みであり、EU市場との摩擦を避けつつも、中国製品との競争が激化することが必至です。部品調達先の見直しや認証体制の強化は、特に日本企業にとって重要な鍵となるでしょう。

手動工具業界の変化

手動工具産業も2025年第1四半期に前年同期比7.1%の成長を見せていますが、北米市場の縮小によって慎重な見通しが求められています。復盛応用科技によるモンキーレンチ大手の買収は、業界再編の一環として、製品開発力や生産工程の最適化を進めている好例です。この業界全体の動きは、今後の競争力強化に寄与することが期待されています。