104歳になる父が明かす、老いの豊かさと愛しい人生
信友直子さんの最新作『あの世でも仲良う暮らそうやー104歳になる父がくれた人生のヒント』が、2024年10月25日に刊行されます。この本は、高齢でありながらも力強い生き方を続ける父、良則さんと、娘である信友さんの視点から描かれたエッセイです。著者は、彼女の父親の心温まる日常を通じて、老いの価値や生きることの意義を伝えています。
著書の中では、認知症を患った母を献身的に支える父の姿が描かれ、映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』での家族の深い絆が再び浮き彫りになります。映画は、父の愛情と母のユーモアが際立ち、多くの人々の心をつかみました。そして、父と娘の二人三脚で紡がれる物語は、笑いや涙を交えた大切なメッセージを私たちに届けてくれます。
老いを受け入れる力
本書は三部構成になっており、第一章では父と母が共に暮らした日々の中での口づけられた言葉たちが語られています。「これからはわしがおっ母に恩返しする番じゃ」など、日常生活の中から生まれる深い哲学が詰まっており、老いを受け入れながらも豊かに生活する智慧がここにあります。
次の章では、母が他界した後も、父がどのように一人で生きていくかについて振り返ります。彼の語る「なるようになる、思うて安気に暮らすことじゃ」という言葉は、現代社会で生きる私たちにも深い学びを与えてくれます。懸命に前を向いて生きる父の姿から、多くのヒントを得ることができるでしょう。
対談でわかる心のつながり
特筆すべきは、巻末に収められた石井哲代さんとの対談です。広島出身の104歳の同級生である哲代さんとの友情が、初対面とは思えないほど溢れ出る「バディ感」を生み出します。二人が交わす言葉は、歳を重ねても変わらない人間関係の美しさを教えてくれます。
まとめ
本書は、家族の愛に満ちた一冊としてだけでなく、人生の深いメッセージを私たちに届けてくれる重要な作品です。父・良則さんの豊かな言葉や人生観は、老いについての新たな視点を気づかせてくれます。ぜひ手に取って、その深い教えを受け取ってみてはいかがでしょうか。安逸に過ごすことのできる歓びを再認識することで、私たちの日常に新しい風を吹き込んでくれるでしょう。
書誌情報
著者:信友直子
発行日:2024年10月25日
出版社:文藝春秋
定価:1,595円(税込)