新会社「NTTサーキュラスト」の設立
2023年、NTT株式会社と三菱マテリアル株式会社は、再生材の利用拡大と資源循環社会の推進に向けた新会社「NTTサーキュラスト株式会社」を設立することを発表しました。この新会社は、使用済みIT機器や通信設備からの再生材の回収、再資源化、製造・販売までの流れを一手に担うとともに、再生材の特性情報をサプライチェーン間で適切に伝達する仕組みを提供します。
1. 設立の背景と目的
使用済みIT機器や通信設備には、限りある貴重な金属資源が含まれており、これまでにもその回収やリサイクルは行われてきました。しかし、再生材についてはその特性情報が十分に整理、共有されていないため、製品メーカーが適切に説明することが難しいという現状があります。これにより、企業が持続可能な資源循環について具体的に把握し、発信することが容易でないという課題も存在しました。
資源循環や環境負荷に対する関心が高まる中で、特に製造業において再生材の利用が重要視されています。政府の「循環経済行動計画」においても、再生資源に関する供給サプライチェーンの強靱化が掲げられており、2030年までに国内生産される銅の約30%を再生資源由来とする目標が設定されています。これに伴い、再生材の質・量の確保やその利用を促進するための仕組み作りが求められています。
2. 新会社の取り組み内容
「NTTサーキュラスト」は、以下の2つの柱を中心に取り組みを進めています。
(1)再生材特性情報の伝達
新会社は、再生材に関する特性情報を最終製品メーカーまで適切に伝達する仕組みを整備します。この仕組みは、他企業の再生材の利用状況についても対応できる共通プラットフォームとして展開し、自社の排出企業に対しても、どのように資源が活用されたかをフィードバックする仕組みを提供します。
(2)再生材の製造と販売
新会社は使用済みのIT機器や通信設備を回収し、これらを再資源化して再生材を製造・販売する役割も担います。これにより、リサイクラー、排出企業、そして製品メーカーといったさまざまな主体の連携を強化することが期待されています。
3. 各社の役割
NTTは、使用済み機器の排出側としての経験と知見を活かし、データ流通の技術やプラットフォーム構築の実績を基に、再生材の特性情報の整理と伝達を行う仕組みを構築します。一方、三菱マテリアルは、E-Scrapの処理能力を活かして都市鉱山を起点とした資源循環事業を推進し、再生材の製造・供給を担当します。
4. 今後の展望
新会社は、まず使用済みのIT機器や通信設備における金属資源の回収から始め、その後再生材の供給と特性情報の伝達に取り組みます。今後、排出企業やリサイクラー、製品メーカーとの連携を深めることで、再生材利用の具体的な事例を生み出し、資源循環への参加意義を可視化していくことが期待されています。
新会社が目指すのは、物の流れと情報の流れを組み合わせることで、資源循環を可視化し、再生材が選ばれる市場を実現することです。