日本初、医用3D画像の異常検出システムが特許出願
2025年1月、大阪に拠点を持つ株式会社エクセル・クリエイツが、ディープラーニング技術を用いた医用3D画像向けの異常検出方法を特許出願しました。この革新的な方法は、少数の正常画像を教師データとして活用し、異常箇所を自動的かつ迅速に特定することを目的としています。医療現場における画像解析の効率化が期待されるこの技術は、日本国内でも初の試みとなります。
開発の背景
外科手術や死因究明のための解剖には、通常CTやMRIなどの画像を事前に撮影して異常箇所を特定する必要があります。この作業は高い専門性を要する放射線科医や法医解剖医が行うため、経験豊富な医師の数が限られている日本では、依頼の対応が難しい状況が続いています。そこで、異常検出のプロセスを自動化し、効率化を図るシステムの需要が高まっています。
技術の概要
一般的に、AIによるディープラーニングには大量の教師データが求められますが、医療分野においては特にその収集が困難という課題があります。例えば、頭蓋骨内出血の検出を行う際、全ての種類の出血のデータを集めるのは非常に難しく、希少症例については教師データが全く存在しないこともあります。
エクセル・クリエイツはこの問題を解決するために、製造業で使われている技術を応用しました。正常な健常者の画像のみを教師データとして用いて正常な状態を学習させ、その知識を基に異常を検出するモデルを開発しました。このアプローチにより、日本初となる医用3D画像の異常検出モデルを構築することが可能となりました。
3D画像では、立体的な構造が把握できるため、2D画像では難しかった対応も可能になりました。特に、骨折の Detection において、亀裂の方向が影響する問題を軽減できることが期待されています。
今後の展開
エクセル・クリエイツは、鹿児島大学と共同で死後CT画像の解析プロジェクトを進めています。このプロジェクトには、頭蓋内出血と頭蓋骨骨折を検出するAIシステムの開発が含まれており、法医学医師の負担を軽減することが目指されています。さらに、この技術は救急医療やがん治療など、さまざまな医療分野に応用できる可能性があります。
この新しい技術が医療現場での効率的な診断に寄与し、多くの患者に対する支援が実現されることが、今後も期待されるところです。
企業情報
- - 企業名: 株式会社エクセル・クリエイツ
- - 代表取締役: 棚田誠
- - 住所: 〒542-0081 大阪府大阪市中央区南船場1丁目16番13号 堺筋ベストビル5階
- - 代表電話: 06-6121-2130
- - Fax: 06-4964-1133
- - ホームページ: エクセル・クリエイツ
- - 主な製品: 画像ファイリングシステム、レポートシステム、検査システム、健診システム
- - 導入実績: 国内1684施設、海外1施設(2024年12月末現在)
この技術革新により、医療現場での画像解析が飛躍的に効率化され、患者治療における診断の精度も向上することが期待されています。