鈴鹿サーキットで実現した4K非圧縮映像の光無線伝送技術

新たな伝送技術が鈴鹿サーキットで成功

2024年10月27日、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで、デクセリアルズフォトニクスソリューションズなど5社の協力により、4K非圧縮マルチチャネル映像の光無線伝送が実現しました。この試みは、世界初の非圧縮4K映像を100Gbpsでライブ伝送するフィールド実証として、ケーブルテレビ事業者へ55km離れた地点まで成功裡に届けられたことを意味しています。

背景と目的

従来、モータースポーツイベントなどで高精細な映像を伝送する際、光ファイバの敷設が難しい状況が多く存在しました。そのため、臨時に大容量回線を必要とし、かつ敷設が難しい場合に光無線技術が注目されるようになりました。これを実現するために、各社は協力して研究開発を進めてきました。

実証内容

2024年の実証では、鈴鹿サーキットの逆バンクコーナー付近と350m離れたグランドスタンド屋上にトランシーバを設置しました。ここで撮影した4チャネルの非圧縮4K映像を、光無線で伝送し、光ファイバ通信を使用することで、55km先のシー・ティー・ワイの社屋まで届けることに成功しました。この技術により、フィールドでの映像伝送の新たな可能性が広がります。

光無線トランシーバの技術

今回用いられたトランシーバは、電気信号への変換を行わずに光信号のままで伝送できるオールオプティカル型のものです。この技術により、0.1〜10Gbpsの従来型トランシーバに比べて大容量通信が可能になり、消費電力や遅延の削減にもつながります。また、放送・通信事業者による商用サービスを見据えたネットワーク構成で実証が行われたことは、今後の商業化にも期待を寄せています。