2025年5月9日、本格ミステリ作家クラブの公式Twitterアカウントにおいて、待望の「第25回本格ミステリ大賞」の結果が発表されました。栄えある小説部門の受賞には、株式会社KADOKAWAから昨年9月に刊行された逸木裕の新作『彼女が探偵でなければ』が選ばれました。このニュースは、ミステリー文学の愛好者のみならず、多くの読者に喜ばれています。
受賞の知らせを受けた逸木裕は、喜びを語るコメントを発表。彼の作品には、登場人物である探偵・森田みどりを通じて、様々な人間模様や心理が描かれています。みどりは社会で様々な役割を果たしつつも、探偵としての宿命に抗えない女性。彼女の成長と探偵人生を描いた本書は、5つの短編から成っています。
デビュー作『虹を待つ彼女』以降、人気を博しているこのシリーズは、みどりが高校生から成熟した大人へと成長していく過程を追っています。彼女は現在、二児の母として部下を育てる立場にもなり、その立場から常に人々の本性に向き合わざるを得ない状況に置かれています。
本作の中で、彼女は事件を通じて子供たちの心の闇と向き合います。例えば、時計職人の父を亡くした少年や千里眼を持つ子供の話などが交錯し、深い心理描写が展開されます。これはただの謎解きに留まらず、読者に強く問いかける内容となっています。果たして、探偵としての知識や経験がみどりに真実をもたらすのでしょうか。彼女が剥ぎ取る真実が必ずしも幸福に繋がるわけではないことも、本作は示唆しています。
さらに、『彼女が探偵でなければ』は、書評家たちの推薦も受け、多くの支持を集めています。特に、興味深いのは「リアルサウンド認定2024年度国内ミステリーベスト10」の第1位を獲得したことです。受賞作の評価は、物語の感情と緊迫感が見事に融合している点にあります。著名な書評家たちの絶賛に bolster され、読後の充実感もたっぷりと味わえる作品です。
また、全国の書店員から寄せられる感想も、興味深いものが多く、みどりの人物像が繊細かつリアルに描かれているとの意見が多く聞かれます。彼女の探偵としての姿勢や、謎を追求する姿に、強い決意と人間らしさが表れており、読者に胸に響くメッセージを届けています。
逸木裕は、1980年生まれの作家で、法学を背景に持つフリーランスのウェブエンジニアでありながら、多くの賞を受賞している実力派です。ミステリー小説の世界において、探偵物語の新たな地平を開く逸木の作品には、目が離せません。新作『彼女が探偵でなければ』は、ぜひとも手に取ってみたい作品ですね。お近くの書店で見つけて、物語の世界に浸ってみてはいかがでしょうか。今後の逸木裕の活躍にも期待が寄せられます。