JALと本郷植林研究所が地産地消型SAF事業を開始
2025年4月28日、日本航空株式会社(JAL)と株式会社本郷植林研究所(本郷研)が、持続可能な航空燃料(SAF)の国内生産に向けて、重要な覚書を交わしました。この取り組みは、国産SAFの商用化を目指すものであり、両社の強みを生かすことが狙いです。
地域資源を活用した新たな事業モデル
このプロジェクトでは、JALが持つ広範なネットワークと、本郷研の独自の技術を活用し、国内の森林資源を原料にした地産地消型の国産SAF製造事業モデルが構築されます。これにより、地域に根ざした持続可能な社会の実現が期待されます。
本郷研は東京大学発のスタートアップ企業で、早生樹に関する研究成果に基づいた技術を持っています。2016年からは植林事業をスタートさせ、次世代型サステイナブル社会の実現を目指す運営方針を掲げています。これまでの研究の結果、2024年にはガス化・FTプロセスの初期実証に成功を収めており、これを基に2030年頃には商業生産を目指しています。
サーキュラーエコノミーの促進
本郷研の事業モデルの特長は、小型プラントを採用することで初期設備投資を抑え、設置場所の選択に柔軟性がある点です。また、地域の資源を活用した脱炭素化に向けた研究を進めることで、サーキュラーエコノミー(循環型社会)の実現を目指しています。
実際、ガス化・FTプロセスは、木質バイオマスから合成燃料を生成するために、水蒸気や酸素を使ってガス化し、その後FT法を用いて液体化する技術です。このようなプロセスを通じて、効率的な燃料製造が可能となっていきます。
JALの2050年に向けた目標
JALグループは、2030年度に全燃料搭載量の10%をSAFに置き換えるという目標を掲げています。この取り組みでは、国内外の様々なステークホルダーとの協力を通じて、国産SAFの製造・商用化を進めていく方針です。
地域密着型のSAF事業を立ち上げることで、その土地でとれた木材を現地で利用する地産地消モデルが実現し、SAFの供給が広がるだけでなく、地域活性化にも寄与することが期待されます。また、国産木材を利用することによって、森林資源の適切なサイクル活用が進み、持続可能な森林経営への貢献も目指しています。
持続可能な未来への取り組み
このプロジェクトを通じて、自然が持つ力を最大限に生かした脱炭素社会の実現に向けた努力が続けられます。JALと本郷研の取り組みは、日本における持続可能な航空燃料の未来を切り拓く重要な第一歩といえるでしょう。
今後の展開に注目が集まっています。