株式会社電通が実施した第18回「ウェルネス1万人調査」では、全国に住む20代から60代の男女1万人を対象に、健康に対する意識や行動の実態が調査されました。この調査は2007年から毎年行われており、生活者視点でのヘルスケアのトレンドを把握するための重要なデータ源となっています。
調査の結果、特に目を引くのは、ヘルステックの製品やサービスに対する使用意向や現在の使用状況が大きく伸びていることです。使用率が最も高いデバイスとして「心拍数や歩数、睡眠の質などを測定できる腕時計型デバイス」が挙げられています。使用意向率は33.7%、現在の使用率は11.7%に達し、2020年と比べても大幅に増加しています。また、栄養状態や睡眠の質を測定するサービスも人気を集めており、今後の成長が期待されます。
興味深い点は、性別によるヘルスケアデータへの関心の違いです。女性は「心の疲れ度」や「睡眠の質」といったメンタルケアに関連する情報に高い関心を示し、一方で男性は「血圧」や「体脂肪率」といったフィジカルな健康指標に対する興味が強いという結果が得られました。さらに、ヘルスケアデータを活用したサービスを利用したいと答えた人は全体の半数以上に達しています。
健康に関わる支出については、商品にかけている月額が1269円と過去5年間で最低を記録しましたが、サービスにかけている金額は948円に増加しています。これは、生活者が商品の購入よりもサービスを重視するようになっていることを示唆しています。
一方で、頭痛をはじめとする軽度の体調不良については、主な原因として「気圧の変化」が55.5%を占めて最も多く挙げられました。気候の影響を感じる声が多く聞かれ、これは近年の気候変動の影響を指摘するものとも考えられています。
また、「ウェルビーイング」という言葉の認知度も上昇し、31.1%という結果が出ました。しかし、内容まで理解している人は7%しかおらず、言葉自体に対する理解は十分とは言えません。
電通ヘルスケアチームの担当者は、調査を通じて得られたデータが業界のマーケティングや事業開発に役立つことを期待しており、今後もヘルスケアデータやトレンドを注視していく必要性が示されています。
このように、現在のウェルネス状況や健康意識の変化は、より多くの人々が健康を意識し、テクノロジーを活用した生活習慣の改善に役立てようとしていることを示しています。今後、ヘルステックがますます普及し、より多くの人々が健康の改善に取り組む姿が想像されます。