大阪・関西万博で新たな熱中症対策が始まる
大阪・関西万博に向けて、株式会社OSGコーポレーションが新しい熱中症予防対策を導入しました。特に暑い夏に適したこの取り組みは、来場者やイベント運営スタッフの安全と快適さを確保することを目的としています。OSGコーポレーションは「ステハジ」プロジェクトの一環として、給水スポットを提供するだけでなく、インダストリアルデザイナー大浦イッセイ氏が開発した手のひら冷却機「RACCOON」を会場内に設置しました。
RACCOONとその効果
「RACCOON」は、手のひらを冷却することで、体内の深部体温を効果的に下げる連続冷却システムです。この冷却機は、熱中症の原因となる体温の上昇を抑えるために設計されており、手のひらには動脈と静脈が結びつく「AVA血管」が存在します。血液がこの部分を通る際に、冷却されるため、全身の温度管理が可能となります。
OSコーポレーションは、「RACCOON」を2025年の万博会場内の「未来の都市」パビリオン前と「デジタルトラベルゾーン」入口前に2ヶ所設置する予定です。ここで来場者は手のひらを冷却し、深部体温を下げることができます。実際に冷却効果を得るには、約5分間手すりを握ることが推奨されています。
熱中症予防の重要性
熱中症は体の深部温度が上がることによって生じる状態であり、これが引き起こす問題を解決するためには、血液温度を下げることが重要です。「RACCOON」は、冷水を循環させた手すりによって常に15℃の冷却温度を維持できる点が特長です。この温度はAVA血管を冷却するのに最適で、冷却によって体内を循環する血液の温度も下げることができます。
他の冷却手段では、氷や保冷剤を使用することで血管が収縮し、冷却効果が制限されてしまうことがありますが、「RACCOON」はその心配がありません。また、衛生面でも、ステンレス製の手すりが常にクリーンな状態に保たれるため、安心して利用できます。
臨床実験による信頼性
「RACCOON」の有効性は、福井工業大学の竹田教授による臨床実験で確認されており、国土交通省の安全大会での報告でも高い評価を受けています。これは、ただのアイディアではなく、実際に科学的裏付けのある安全対策であることを示しています。
今後の活動と展望
OSGコーポレーションは、給水スポットとの連携を活かし、深部体温が上昇するリスクが高い環境、例えば建設現場や学校、スポーツ施設においても「RACCOON」を展開していく計画です。本取り組みがより多くの人々に熱中症予防の重要性を知ってもらうきっかけになればと考えています。
ステハジプロジェクトの意義
さらに、OSGコーポレーションが推進する「ステハジ」プロジェクトは、海洋プラスチック問題や食品ロスなど、さまざまな社会課題に対する意識を高めることを目的としています。現在、407団体がこのプロジェクトに賛同しており、誰もが手軽に参加できる取り組みとして広がりを見せています。
このように、OSGコーポレーションは「RACCOON」を通じて熱中症対策を実現しつつ、環境にも配慮した企業活動を行っています。