大阪・関西万博における新たな建築表現と共創の未来

大阪・関西万博のテーマ「いのちめぐる冒険」に基づくシグネチャーパビリオンは、未来の建築と環境の調和を提案する重要なプロジェクトとして注目を集めています。このパビリオンにおいて、株式会社ExtraBold（東京）と株式会社是永商会（福岡）のコラボレーションが実現しました。両社の技術力を結集し、海水を使用したコンクリートパネルの製作が行われたのです。

イノベーティブな材料の使用

「いのちめぐる冒険」パビリオンは、生命のサイクルを表現するため、海水コンクリートを使用した構造が採用されました。この新しい材料の採用は、環境に配慮した建築を実現すると同時に、建築的な挑戦を示唆しています。そして、ExtraBoldが駆使した3Dプリンティング技術により、複雑な凹凸を持つテクスチャパネルが製作され、建築家の求める生命感あふれる質感が実現されました。

共同開発の成功

このプロジェクトは、両社の共同開発によって成り立っています。元々、是永商会は独自に3Dプリンティング機材を整備する計画でしたが、スケジュールの関係でExtraBoldのEXF-12が活用されることになりました。約3カ月にわたる開発フェーズでは、是永商会のエンジニアがExtraBoldに滞在し、技術検討と試作を重ねました。

特に、コンクリートとの相性やテクスチャの転写性を確認するため、材料の選定や試験造形が行われ、高精度な接合が可能となる二分割での造形が設計されました。これによって、量産に必要な品質基準も確立されたのです。

量産体制の構築

量産段階では、引き続きEXF-12を使用し、材料の変更や生産条件の変化に伴う様々な課題に直面しましたが、両社が密に連携し対応しました。日次の造形・出荷体制の確立や、リアルタイムでの品質管理手法が導入され、目標に沿った高品質な製品が生み出されました。最終的には、製作されたコンクリートパネルが複数のプロジェクトでリユースされることとなり、持続可能な建築材料としての評価を受けました。

教育との連携

ExtraBoldが運営する共創型ものづくり教育プログラム「BOLDGYM ACADEMY」も、今回のプロジェクトから得た知見を生かして次世代の製造人材育成につなげる予定です。この取り組みは、実践的なものづくり体験を提供し、参加者が企業との共同プロジェクトに積極的に関わる機会を創出します。

未来への展望

今回の取り組みは、建材分野における3Dプリント技術の可能性を示すものであり、建築家の意図を高解像度で具体化することで、新しい表現手法を提案しました。これにより、今後の建築やインフラの分野においても新たな応用展開が期待されます。

大阪・関西万博「いのちめぐる冒険」パビリオンは、単なる建築物にとどまらず、持続可能な未来を目指した新たな取り組みとして、私たちに多くの示唆を与えてくれます。