アニメ療法が心のケアの新たな可能性を切り開く
若者の生きづらさを考慮した新しい心理的サポート手法「アニメ療法」が、横浜市立大学COI-NEXT拠点において2025年の秋から実施される。この取り組みは、大日本印刷株式会社(DNP)と横浜市立大学の共同によって進められ、オンラインでのカウンセリングを通じて心の健康を支援することを目指している。
Minds1020Labとは
Minds1020Labは、横浜市立大学が設置した研究拠点で、特に若者の心の問題に焦点を当てている。このラボの目的は、心の健康に関する様々な研究を行うこと。社会と連携しながら、より良い未来を目指している。また、心理的レジリエンスの向上を図るサービスやコンテンツの開発も進めている。
アニメ療法の概要
アニメ療法は、パントー・フランチェスコ氏によって提唱された。フィクション作品を用いて、現実の人間の葛藤や苦悩を描くことで、精神の治癒効果を狙う画期的な療法だ。アニメに没入することで、感情移入や自己変容を促し、心のケアを行うことが期待されている。この方法は、従来の心理療法とは異なり、エンターテインメントの要素を取り入れながら心理的サポートを提供する。
DNPの取り組み
DNPは2023年からこのアニメ療法の取り組みに参加し、特にオンラインカウンセリングの実証実験に力を入れている。2024年3月にはMinds1020Labに加わり、オリジナルキャラクターのデザインやカウンセリングシステムの構築に着手。実際のカウンセリングでは、参加者が選んだキャラクターを通じて心理士と対話し、心のケアを受けるという流れが計画されている。
実証実験の詳細
実証実験は2025年10月1日から2026年6月30日までの間に行われる。対象は18歳から29歳までの若者20名で、各自がキャラクターを選択し、それに基づいたカウンセリングを受ける仕組みだ。カウンセリング前後には心理指標に基づく質問票に回答し、効果の測定を行う。この試みを通じて、アニメ療法がどのように心に影響を及ぼすのか、その実証が期待されている。
社会的処方の枠組み
アニメ療法は、通常の医学的治療に加え、社会的リソースや地域活動への参加を推奨する「社会的処方」としても位置づけられている。孤独感や生きがいの不足といった問題に対処し、QOL(生活の質)を向上させる取り組みとして、アニメ療法は新たな地平を切り開くかもしれない。
参加者募集中
なお、このオンラインカウンセリングの実証実験への参加者は現在募集中。興味のある方は、公式ウェブサイトより詳細を確認の上、応募することができる。アニメを通じて心のケアを探索するこの新しい試みに参加するチャンスを逃さないでほしい。