メタバース利用者に関する調査2024:意識と動向の変化を探る
2024年11月、株式会社博報堂DYホールディングスが実施した「メタバース生活者定点調査2024」の結果が発表されました。この調査は15歳から69歳の全国の生活者を対象に、メタバースに対する意識や動向を明らかにすることを目的としています。年々増え続けるメタバース関連サービスの利用状況や、生活者の認知度、さらには彼らの意識の変化についても触れていきます。
認知と利用経験に関するデータ
この調査によると、メタバース関連サービスの認知率は38.4%と推定され、約3,294万人にのぼります。前年の調査では40.5%の認知率であったため、僅かに下落しています。この減少は、昨年に比べてメタバースに対するマーケティング活動が少なかったことが原因と考えられています。一方、メタバースを実際に利用した経験がある人は全体の8.7%、約687万人であり、若干の増加が見られました。
メタバースのイメージの変容
この調査では、メタバースに対する前向きなイメージの変化も確認されました。「親しみの持てる」と感じる利用者は10.8%で、前年よりも増加しました。また、「手軽で簡単」と感じる層も9.7%に達しています。それに対し、「オタクが多い」というネガティブなイメージは減少し、メタバースがますます親しみやすい存在になっていることが示されています。
人間関係の複雑化
調査を通じて、利用者がメタバースに対して持つ感情の変化も見逃せません。「しばらく接続しないと寂しさを感じる」と回答した人は52.9%に上昇しましたが、「面倒くさい人間関係を捨てたい」と感じている人の割合は66.5%と減少しています。このことから、メタバース内における人間関係の重要性が増しており、現実世界の友人との交流が促進されていることが伺えます。
アバターの選択行動の変化
また、利用者のアバター選択行動においても面白い変化が見られます。「他人となるべく被らないアバターを選択する」という傾向が19.7%に上昇し、「好きなキャラクターに似せたアバターを選ぶ」という人も増加しました。一方で、自分が憧れる異性のアバターを選択する人は減少したことから、周囲との兼ね合いを重視する傾向が強まっているようです。
新たなプラットフォームへの動機
利用者が普段利用しているプラットフォーム以外のイベントに参加する理由として、「普段とは異なる自分になりたい」という動機が高まっていることが確認されました。人間関係やアバターが固定化される中で、新しい自己を探求するために別のプラットフォームに参加する人々が増えています。
情報源としてのXの台頭
さらに、メタバース関連の情報源として「X(旧Twitter)」の利用率が32.8%に増加しました。これは、人気配信者がXを用いてメタバース関連の情報を発信していることが大きな要因であると考えられます。
広告への反応
メタバース内で広告を目にしたユーザーの態度も変わりつつあります。「その企業を知った」と答えた割合が33.4%に上り、SNSアカウントのフォロー率も10.7%に達しました。これはメタバース利用者が広告を通じて新しい情報を積極的に吸収していることを示しています。
利用層の嗜好性
最後に、メタバースの利用層と興味を示しているが未利用の層に共通する好きなコンテンツや有名人について調査しました。両者の間では「男性アイドル・タレント・俳優」の人気が際立っており、この点においては共通の嗜好性を見せています。
結論
「メタバース生活者定点調査2024」を通じて、メタバースが進化し続ける中で利用者の意識や行動がどのように変わりつつあるのかが明らかになりました。今後のメタバース関連ビジネスの発展に向けて、これらのデータは非常に貴重なインサイトとなるでしょう。