大阪国際がんセンターの呼吸器内科副部長、國政啓医師が令和8年度の革新的がん医療実用化研究事業に採択され、新たな研究課題に挑むこととなりました。この研究は、進行性の非小細胞肺がんにおけるMET遺伝子エクソン14スキッピング変異を対象に、治療法の確立を目指しています。
この研究は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの支援を受け、2024年4月より2026年度末までの期間で実施されます。研究の目的は、非小細胞肺がんにおいて、METチロシンキナーゼ阻害薬と免疫チェックポイント阻害薬の治療効果を比較し、最適な初期治療法を確立するための第III相無作為化比較試験を行うことです。これはJCOG2506(DECIDE-MET試験)として知られています。
進行した非小細胞肺がんの治療においては、がんの増殖に関与する特定の遺伝子の変化を明らかにし、その変化に即した分子標的薬を選択することが国際的に推奨されています。中でも、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異は、がん細胞の増殖に関し特に重要な遺伝子の変化の一つです。日本ではこの変異を持つ患者に対し、METチロシンキナーゼ阻害薬が処方され始めており、現在3種類の薬剤が利用可能です。
國政医師は、これらの薬剤が使用される以前から、この遺伝子変異を持つ肺がん患者に対して免疫チェックポイント阻害薬が効果を示す事例を多く経験してきました。これを基に、最初に行うべき治療法を決定するため、比較試験を通じて明確なエビデンスを提供することを目指しています。
「MET遺伝子変異に特化した治療法は、他の遺伝子変異をターゲットとした治療に比べて結果が不十分な場合があります。免疫治療薬のほうが患者にとってどれだけ有益であるかも未解明です。この研究を通じて世界中の治療のスタンダードを変えるエビデンスを創出したい」と國政医師はコメントしています。
大阪国際がんセンターは、長年の経験を活かし、新しい治療法の開発と評価に取り組んでおり、高度な医療提供や研修を行う特定機能病院としての責務を果たしています。また、地域医療においても中心的な役割を果たしており、すべての患者に満足のいく治療を提供することが求められています。
進行非小細胞肺がんの治療研究は、多くの患者に新たな希望をもたらす可能性があり、今後の研究の進展に期待が寄せられています。引き続き大阪国際がんセンターは、がん診療の最前線で革新的な研究をリードし続けることでしょう。