新しい仮固定フィルムと剥離プロセスの開発
株式会社レゾナックは、先端半導体デバイスの製造工程に革新をもたらす、新たな仮固定フィルムとその剥離プロセスを発表しました。この技術は、ウエハなどの半導体製品をガラスキャリアに一時的に固定し、さまざまな加工プロセスを経ても、その後容易に剥離できるものです。
技術の背景
半導体製造においては、ウエハやチップが仮固定材を使って、ガラスなどのキャリアに接着されます。前工程や後工程での加工時に、仮固定材の性能が求められます。特に、残留物がなく簡単に剥がせること、そして、ダメージを与えずに効率的に剥離できることが重要です。しかし、従来のレーザー照射による方式には、「すす」と呼ばれる異物が発生するという課題がありました。
新技術の特徴
レゾナックの新しい仮固定フィルムは、優れた耐熱性と耐薬品性を備えています。接着性が高く、ウエハやパッケージが剥離された後には、常温で残留物を残さず剥がすことが可能です。この仮固定フィルムは、瞬時にごく高いエネルギーを供給できるキセノン(Xe)フラッシュ光を利用した照射方式を採用しており、ガラス上の金属層を局所的に加熱することでウエハの熱や物理的な負荷を軽減し、短時間での実現が可能です。
一方、剥離プロセスにおいても、樹脂の分解を伴わないため、従来の技術に伴う「すす」の発生がなく、クリーンな作業環境を維持できます。これは、特にクリーンなプロセスが求められる昨今の半導体製造において、大きな利点となります。
市場展開への意気込み
レゾナックは、メモリ半導体、ロジック半導体、パワー半導体を含む各種半導体製品の製造工程への応用を目指しています。また、今後、共同開発のパートナーを募り、この新しい仮固定技術の市場展開を進めていく計画です。当社の技術革新が半導体業界に与える影響は計り知れず、今後の展開に期待がかかります。
会社情報
レゾナックグループは、2023年に昭和電工グループと昭和電工マテリアルズグループが統合して誕生した新会社です。半導体・電子材料の売上は約3,400億円に達しており、特に「後工程」材料では世界的に評価されています。新社名の「Resonac」は、共鳴を意味する英語の「RESONATE」と化学の「C」を組み合わせたものです。レゾナックは、今後も共同創造を進め、技術革新をさらに加速させていく所存です。詳しくは公式ウェブサイトをご覧ください。
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