タイワン・セミコンダクターがSiCパワー半導体市場に挑む
タイワン・セミコンダクター(TSC)は、新たにSiC(炭化ケイ素)パワー半導体市場に参入し、1200V耐圧のSiCショットキーバリアダイオード製品群の販売を開始しました。この製品は、世界最小のパッケージサイズを誇り、EV市場での重要性がますます高まっています。
EV市場とSiCパワー半導体の重要性
電気自動車(EV)の普及が進む中、トラクションインバーターとして使用されるモーター駆動回路は、効率性が求められています。従来のシリコン(Si)ベースからSiCパワー半導体への移行が加速する中、特に質の高いSiCパワー半導体の安定供給が自動車関連企業から強く求められています。このニーズに応える形で、タイワン・セミコンダクターは市場への新規参入を決定したのです。
新しいSiCショットキーバリアダイオードの特性
新しいSiCショットキーバリアダイオードの一部は、SOD-128(3.8x2.5x1.0mm)というサイズのパッケージを採用しています。これは、1200V耐圧としては世界最小となるもので、設計者にとっては驚異的な選択肢です。また、この製品は優れた電気的絶縁特性を持ち、インバーター回路内でのブートストラップや保護回路として広く利用されることが期待されます。この小型パッケージは、EVの走行距離の延長やバッテリーの軽量化にも寄与します。
MPS構造の採用による性能向上
さらに、本製品にはPIN構造とショットキー構造を融合させたMPS構造が採用されており、一連の優れた特性を実現しています。具体的には、高い正方向サージ電流耐量、低い正方向電圧降下、そして低い容量電荷を備えているため、高周波や高電圧のアプリケーションでもその性能を発揮します。
耐熱性に関しても、車載電子部品の信頼性規格である「AEC-Q101」に準拠しているため、高温環境下でも安定して使用できる特性を持っています。これにより、自動車分野でもより多くの採用が期待されます。
タイワン・セミコンダクターの企業概要
1979年に台湾に設立されたタイワン・セミコンダクターは、45年以上にわたり、様々な半導体製品を開発・製造してきました。ダイオード、MOSFET、小信号デバイスからアナログICまで、広範囲にわたる製品ラインを展開しており、その品質と安定した供給が高く評価されています。日本法人も2003年に設立され、現地市場に対するサービスも強化されています。
また、同社のプロダクトマーケティング担当バイスプレジデントであるサム・ワンは、新製品に対する期待を次のようにコメントしています。「この新しいSiCパワー半導体は、性能やサイズ、コストにおいて、EVの設計課題を解決する非常に良い選択肢となるでしょう。タイミングを逃さずに、市場のニーズに応えられることを嬉しく思っています。」
このように、タイワン・セミコンダクターの新しいSiCショットキーバリアダイオードの導入は、EV市場でのパフォーマンス向上に繋がることでしょう。ぜひ、製品の詳細情報についてはこちらもご覧ください。
タイワン・セミコンダクターの公式ウェブサイト:
タイワン・セミコンダクター公式サイト。