半導体業界の未来を切り拓く「JOINT3」設立の裏側
最近、国内外の半導体関連企業27社が共同で設立したコンソーシアム「JOINT3」が、話題を呼んでいます。その目的は、次世代半導体パッケージ技術の研究と開発の強化です。このプロジェクトは、株式会社レゾナックのリーダーシップの下、企業が持つ知見や技術を統合し、より効率的な半導体パッケージング技術を追求するものです。
JOINT3設立の背景
半導体業界は今、劇的な変革の時を迎えています。生成AIや自動運転技術の進展に伴い、次世代半導体の需要が急増しているためです。特に、次世代のパッケージ技術がカギを握っており、特に2.xDパッケージと呼ばれる新しい方式が注目を集めています。これは、複数の半導体チップを一つのインターポーザーを介して接続することで、高速かつ大容量のデータ通信を可能にする技術です。
JOINT3の活動拠点
JOINT3の中心となるのが、茨城県結城市に位置する「先端パネルレベルインターポーザーセンター(APLIC)」です。この施設では、515 x 510mmのパネルレベル有機インターポーザー試作ラインを設け、2026年からの稼働を目指しています。これにより、より実際の使用に即した構造での検証が可能になり、参加企業の開発を加速させる狙いがあります。
次世代半導体とインターポーザー技術
インターポーザーは、半導体の性能向上にともない、そのサイズが大型化しています。これまでのシリコンインターポーザーから有機材料を用いたものへの転換が進んでおり、製造方法も変化しています。従来の円形ウェハから、四角形のパネル形状への変更が進められることで、インターポーザーの取り数を増やす新たな製造プロセスの確立が目指されています。
参加企業の声
株式会社レゾナックの髙橋秀仁社長は、「JOINT3には、各領域で世界トップクラスの企業が集結しており、各社の専門知識を融合させることで、次のステップへと進むことができる」と強調しています。
また、東京エレクトロンの執行役員、瀬川澄江氏は、「JOINT3を通じで、AI向け半導体の進化を支える先端パッケージ技術を共に追求する」とコメントしています。このように、業界のさまざまな企業が協力し合うことで、相乗効果を生むことが期待されます。
未来に向けた挑戦
ウシオ電機の威廉・マッケンジー氏も、アドバンストパッケージにおけるイノベーションの重要性を指摘し、デジタルリソグラフィ技術の発展とJOINT3とのパートナーシップを通じて、高精度なパッケージ技術の実現を目指すと述べています。これらの取り組みが成功すれば、次世代の半導体技術は飛躍的に進化し、これまで解決できなかった社会課題へのソリューションをもたらすことができるでしょう。
まとめ
半導体業界は、技術の進化が急速に進む中、様々なプレイヤーが協力することで新たな未来を切り拓こうとしています。「JOINT3」は、その象徴的な存在であり、今後の展開に期待が寄せられています。これからの半導体市場の動向と、JOINT3の影響に注目していきたいところです。