カスタマーハラスメント防止条例の施行に向けた現状
2025年4月1日から施行される「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」に関して、ビジネスの現場ではどのような準備が進んでいるのでしょうか。フリー株式会社が実施した調査によると、東京都内に勤務する中小企業の経営者や人事労務担当者526名を対象に行った結果、カスタマーハラスメント防止に向けた認知度や対策の状況が明らかになりました。
認知度は約半数
調査によると、カスタマーハラスメント防止条例について認知していると回答したのは約45.1%でした。つまり、半数近くの経営者や担当者がこの条例を知らない状況にあることが分かったのです。これは、中小企業にとって大きな課題であり、今後の対応が求められます。
対策実施は35%に留まる
条例について知っていると回答した人のうち、実際にカスタマーハラスメント防止のための対策を実施している中小企業は35.0%に過ぎません。このデータから、条例に対する認知はあっても、具体的な行動に移せていない企業が多いことが伺えます。適切な対策が行われていないことは、従業員のメンタルや業務環境に悪影響を及ぼす要因となり得ます。
改善の余地あり
一方で、未対応の約60.4%の経営者たちが「対策が必要と認識しているが特に対応していない」と回答しました。また、その中の51.0%が今後対策を行う意向を示しているため、中小企業でも今後の改善に向けた動きが期待されます。これは、東京都が公表したカスタマー・ハラスメントの防止に関する指針を踏まえた動きが進む可能性が高いことを示しています。
識別されないリスク
さらに調査結果から、未だに対策をとらない理由として約半数が「対策が必要だと認識していなかった」と回答しています。この事実は、企業内でのカスタマーハラスメントに対する理解や教育が不足していることを示唆しています。対策を講じるためには、まずカスタマーハラスメントが何か、またその影響についての教育が求められます。
freeeの取り組み
freee株式会社では、2023年にカスタマーハラスメントについての考え方を公表し、その後も防止に向けた取り組みを進めています。カスタマーハラスメント防止委員会を設け、社内向けにセミナーを開催するなど、従業員が安心して働ける環境づくりを目指しています。2025年には新卒社員向けの研修も計画しており、彼らにも適切な対処方法を学ばせる予定です。これらの取り組みは、freeeが中小企業の支援を行う中で従業員を守るための重要なステップと言えるでしょう。
今後、中小企業がさらにカスタマーハラスメントの防止に向けた対策を強化していくことが期待されます。東京都が施行するこの条例は、単なる法律的手続きではなく、企業の社会的責任や従業員の権利を尊重する一歩として評価されています。これを機に多くの企業が意識を変え、健全な取引環境を築くことが求められています。