資生堂が明らかにしたシミの悪化メカニズムと新薬剤の展望

資生堂は、シミの悪化メカニズムを革新的に解明し、シミ特有の細胞老化現象に対する新たな解決策を打ち出しました。本研究では、世界初の光学リアルタイム解析法であるFLIM（蛍光寿命イメージング顕微鏡法）を用い、シミ部位の細胞代謝をリアルタイムで観察する手法が確立されました。この成果は、シミ研究の常識を覆すものとして、注目を集めています。

シミの一生を追う

FLIMを駆使することで、「シミの一生」を時間軸で追跡することが可能になり、これまで解明が難しかったシミの悪化過程を詳細に観察することができました。研究の結果、シミ部位では表皮細胞内のミトコンドリア代謝が低下していることが判明し、この低下がシミの悪化に寄与していることが明らかになりました。シミ部位では、メラニンの過剰蓄積によって細胞老化が引き起こされ、これはまさに「シミがシミを呼ぶ」という悪化の根源であることがわかりました。

新薬剤の開発

資生堂は、この研究成果を踏まえ、シミに特有の細胞老化を改善するための独自のトリプル薬剤を開発しました。この薬剤は、シミ部位におけるミトコンドリアの活動を促進し、老化した細胞が分泌する因子であるSASP因子の一部を抑えることで、細胞老化の悪化を防ぐ働きを持っています。実際に6週間の皮膚への塗布による試験では、ミトコンドリアの代謝が改善されることが確認され、シミ改善への期待が高まっています。

受賞歴と今後の展望

この画期的な研究成果は、化粧品技術の権威ある会議であるIFSCCで最優秀賞を受賞し、高い評価を得ました。また、資生堂は「Personal Beauty Wellness Company」として、2030年に向けたビジョンを掲げており、多様な肌の悩みに対応したソリューションの開発を進めています。

今後もシミ・くすみのメカニズム解明に取り組み、培った技術を基に、更なる革新を通じてお客様の美の実現をサポートしていく意向です。