DJI Dock 2による革新的遠隔自動ドローン運用：実証実験レポート

株式会社NSi真岡は、DJIの最新ドローン運用ステーション『DJI Dock 2』の取り扱いを開始し、その性能を実証するため、栃木県と愛知県の2箇所で実証実験を実施しました。本稿では、実験内容、DJI Dock 2、Matrice 3D/3TD、DJI FlightHub 2の機能について詳しくご紹介します。

栃木県におけるダム巡視点検

栃木県矢板市の寺山ダムでは、株式会社安田測量との協力のもと、ダム巡視点検を目的とした実証実験を行いました。

実験内容は以下の3点です。

1. 日常巡視ルートの自動飛行: DJI FlightHub 2でプログラムされたDJI Dock 2は、Matrice 3Dカメラで撮影しながら、約2kmの往復飛行を自動で行いました。気象状況やバッテリー状況もリアルタイムで確認でき、安定した飛行と途切れない映像伝送を実現しました。強風時の着陸においては、機体が風を感知し一時的にホバリング、風の収まるのを待ってから着陸するなど、安全性の高さを確認できました。着陸後は、DJI Dock 2による無接点充電とTECエアコンによる温度管理が行われ、効率的な運用が確認されました。

2. 災害時対応シミュレーション: 地震や台風などの異常気象発生後の状況把握を想定し、DJI Dock 2を用いてオルソ画像と3Dモデルを作成しました。ダム全体の状況を迅速に把握できることを確認し、定期的な状況確認への有効性も示唆されました。

3. AI物体検出による監視: ダム敷地内の不法投棄物発見や、放流前の人・車確認を想定し、安田測量が開発したAI物体検出技術を導入しました。Matrice 3D/TDからの映像データにAI技術を組み合わせることで、リアルタイムでの物体検出が可能となり、新たな活用方法を示しました。

安田測量安田社長は、「DJI Dock 2による完全自動飛行とAI物体検出の組み合わせは、ダム管理業務の省力化・効率化に大きく貢献し、警備や防犯にも応用できる」とコメントしています。

愛知県における災害時情報発信

中京テレビ放送株式会社の『そらメディア』との共同実験では、愛知県沿岸部にDJI Dock 2を設置し、災害時を想定した情報収集と発信を行いました。

実験の目的は以下の3点です。

1. 迅速かつ広範囲な状況把握と情報発信
2. 危険な状況下での安全な情報収集
3. 映像データに加え、多角的な状況分析

地震による津波発生を想定した実験では、遠隔操作によりMatrice 3Dを沖合へ飛行させ、津波の伝播状況をリアルタイムで配信することに成功しました。向かい風の中でも安定した飛行を実現し、長時間の情報収集能力が確認されました。Matrice 3Dのアーム中心部にある突起パーツは空気抵抗を低減させ、スムーズな飛行に貢献していることが分かりました。また、FlightHub 2を用いた過去のデータとの比較分析により、災害時における変化検出の可能性を示しました。

そらメディア代表中村鑑三は、「高精細なデータのリアルタイム確認と迅速な映像利用は、災害報道における大きな可能性を示唆する」と高く評価しています。

DJI Dock 2、Matrice 3D/3TD、DJI FlightHub 2の機能概要

DJI Dock 2: 軽量・コンパクト設計で設置・運搬が容易。IP55等級の耐候性とTECエアコンによる機体温度管理、バックアップバッテリーによる長時間運用、RTKによる高精度飛行、安全性を高めた着陸機構などを備えています。

Matrice 3D/3TD: 軽量で高性能、過酷な環境にも対応。最大50分の飛行時間、6方向障害物回避システム、O3 Enterpriseによる最大15kmの映像伝送距離（障害物、電波干渉なし）を特徴とします。Matrice 3Dは高解像度カメラを搭載し、Matrice 3TDはワイド、ズーム、サーマルカメラを備えています。

DJI FlightHub 2: ドローンとDJI Dock 2をリアルタイム管理できるクラウドベースのプラットフォーム。飛行計画作成、リアルタイム位置追跡、メディアデータ管理、データ分析など、多様な機能を提供します。