蘇嶐窯が紡ぐ縄文の息吹
京都・東山にある「蘇嶐窯」は、現代のアートと縄文時代の文化を融合させた魅力的な新作チェス盤を発表しました。この新作は、「縄文展」として東京、日本橋にて2025年4月25日から5月22日まで開催されます。
縄文文化の豊かな創造力
縄文時代は、日本の先史時代の一つであり、約14,000年から300年の間に続きました。この時代の人々は、黒曜石や食料の交換を行い、自然と深く結びついて生活していました。蘇嶐窯では、そこに注目し、もしも交渉の場がチェスを用いて行われていたらという想像から制作を始めました。
新しい縄文の表現
蘇嶐窯の新作チェス盤には、個性的なデザインが施されたチェス駒が並びます。キングは遮光器土偶、クイーンはビーナス、ビショップがミミズク土偶、ナイトがイノシシ、ルークが山形土偶、ポーンが縄文土器というそれぞれの伝説的な要素を反映しています。台座には縄目の模様が施され、圧倒的な存在感を持つ作品が誕生しています。
この作品の制作過程も興味深く、チェス駒のケースが「アンギン編み」という古代の手法で作られ、チェス盤は無垢板を用いて、縄文の世界観が再現されています。このように、ただ単に製作するだけではなく、歴史的な要素を持ち込みながら、現代のテイストも意識された作品が生まれています。
日常に溶け込む縄文のアイテム
新作にはチェス盤の他にも、土偶をモチーフにした箸置きや、まだ発掘される前の土偶をイメージしたカップなど、日常生活に取り入れやすいアイテムも展示されます。これらは、食洗機や電子レンジにも対応しており、実用性も兼ね備えています。
伝統と革新が交わる場所
展示会では、京組紐と京焼清水焼の技術を融合させた土器も並びます。縄目の紋様が際立った陶器は、一つ一つ手作業で丁寧に作られており、縄文の特徴を残しつつ、現代的なポップさを感じさせます。
開催概要
蘇嶐窯作陶展 ー縄文に想いを馳せるー
日時:2025年4月25日(金)〜5月22日(木)
会場:日本橋木屋izutuki
東京都中央区日本橋室町2-2-1(コレド室町1F、銀座線三越駅直通)
作家在店予定日時:4月25,26,27日/ 12-18時
ひとつの理念
蘇嶐窯では、4代目である涌波蘇嶐と涌波まどかが夫婦で作陶を行い、京都・清水焼と福岡・小石原焼の技術を融合させた独自の作品を製作しています。また、青磁には「練り込み青磁」という技法を取り入れ、深みのある色合いを追求しています。雨上がりの空の色に例えられるその青は、自然に対する愛情と敬意を込めた色合いです。
蘇嶐窯の取り組みは、古代の縄文人が持っていた自然との関係性や命を大切にする精神を現代に引き継ぐものであり、常に新しい価値を生み出しています。この縄文展を通じて、ぜひその魅力に触れてみてください。